メルセデス・ベンツ日本は8月、高性能ブランド「メルセデスAMG」が50周年を迎えたのを記念し、新型AMGモデル6車種を一挙に発表した。昨年日本で売れたAMGは5608台。最低でも700万円以上、最高では3000万円を超えるという高価格車がなぜ売れるのか。その理由を考えた。

発表された6車種の1つ「GT ロードスター」

今回の発表会は、今年1月に東京都世田谷区にオープンしたメルセデスAMG(以下、AMG)専売拠点で行われた。メルセデスがAMG専門店を構えるのはこれが世界で初めてだ。

発表されたのは「GT ロードスター」「GT C ロードスター」「E 63 4MATIC+」「E 63 S 4MATIC+ Edition1(期間限定車)」「E 63 4MATIC+ ステーションワゴン」「E 63 S 4MATIC+ ステーションワゴン」の6車種。これで日本でのAMGラインナップは46車種になったという。

発表となった6車種の価格帯は1千万円台後半から2千万円台前半だ

スパ24時間で名を上げたAMG

今ではダイムラー・グループの高性能ブランドとして多くのクルマ好きに知られているAMG。しかし、今からちょうど50年前の1967年、アウフレヒトとメルヒャーがグローザスバッハという街で始めた頃は独立したエンジニアリングスタジオだった。気づいた方もいるだろうが、AMGの3文字は創立者の両名と本拠地の都市名の頭文字である。

メルセデス・ベンツブランドの両極に位置するAMGとマイバッハ

その名が有名になったのは1971年。「ツーリングカーのル・マン」と呼ばれるスパ・フランコルシャン24時間耐久レースで、彼らが手掛けたエンジンを載せたメルセデスのセダンが、初出場にもかかわらずクラス優勝を果たした。

1990年にはダイムラーと協定を締結し、彼らが手掛けた高性能車はメルセデスのラインナップに組み込まれることになる。そして2009年、AMGはダイムラーの完全子会社となり、完全自社開発のスポーツカーを生み出すとともに、F1活動も引き継ぐことになり、2014年から3年連続でコンストラクターズチャンピオンを獲得している。

BMW「M」シリーズとの違いは

AMGのライバルとしてもっともよく名前が挙がるのが、同じドイツのプレミアムブランド、BMWの「M」シリーズだ。こちらもまたモータースポーツ活動を源流としており、BMW量産車をベースとした高性能ブランドとして有名である。

しかし、AMGとMにはいくつかの違いがある。ひとつは歴史だ。Mのルーツは1978年に発表されたスーパーカー「M1」で、AMGより歴史は浅い。ただしMは当初からBMWのグループ内組織であり、この点で見ればAMGよりキャリアが長いということになる。