新たなパーツや技術はビジネスの変革を起こす
また、iPhoneなどに搭載するメモリーについても、少なくともiPhone 7ではサムスンによる供給だった。現在、東芝の半導体部門について、アップルはフォックスコンなどとともに買収グループを作っているが、これも有力な供給元になるまでには時間を要する。
新型iPhoneが安定的に供給されるかどうかは、スマートフォンのライバルメーカーであるサムスンが、その命運を握っている。
ただ、前述の通り、アップルはサムスンからの依存脱却に向けて、ディスプレイやメモリに関する投資や新たなサプライヤー開拓を進めている。同時に、米国のドナルド・トランプ大統領は、国内雇用と産業の育成の分かりやすいターゲットとしてこれまで、「iPhoneを米国内で製造する」と発言してきた。
iPhoneの組み立てをする委託製造先大手の鴻海精密工業は、トランプ大統領とともに、ウィスコンシン州に新たなディスプレイ工場建設を発表したが、この記者会見の直前、トランプ大統領は新聞社のインタビューで「アップルは米国に3つの工場を建てる」と発言している。
鴻海のディスプレイ工場がそれに当たるのかどうかは分からないが、新ディスプレイ工場では、有機ELの次と言われるマイクロLEDが製造されるとみられており、同技術を開発する企業をアップルは既に買収済みだ。
新型iPhoneに採用する新たなパーツや技術は、iPhoneのサプライチェーンの変革、とくにサムスンからの脱却というビジネスの変動を引き起こす可能性が高く、iPhoneそのものとともに、注目していくべきポイントと言える。