遅れも指摘されるプレミアムモデル
iPhone X、iPhone 8 Editionなどの名前が噂される10周年を記念する新型iPhoneは、これまでのiPhoneの線形の発展の歴史から切り離された、新しいコンセプトを提案するとみられている。
これまで前面に用意され、iPhoneの操作の要となっていたホームボタンは廃止され、また液晶ディスプレイはiPhoneとして初めて採用する有機ELディスプレイに置き換えられる。
有機ELパネルは薄型化や曲面化などの自由度が高く、消費電力が低い上、液晶パネルと異なり黒が消灯となることから、引き締まったコントラストを実現するディスプレイだ。すでにサムスンは有機ELディスプレイを採用したスマートフォンを販売しており、縁が極めて小さい、前面全てがディスプレイのデザインを実現してきた。
新型iPhoneは、イヤーレシーバーやカメラ、センサーなどの部分が画面の中にせり出す以外は、全てがディスプレイで覆われたデザインになると考えられている。
ホームボタンにはこれまで指紋認証のためのTouch IDが内蔵されてきたが、ホームボタンそのものが廃止されることから、3D顔面認証の生体認証システムに置き換えられると予測される。
ディスプレイや生体認証に加え、3Dカメラの採用など、様々な新しい要素が加わる新型iPhoneは、製造の遅れが指摘されており、発表や予約は他のモデルと同じタイミングになるかもしれないが、発売は1カ月近く遅れるとの情報もある。
品薄状態の改善は有機ELパネルの供給次第
iPhoneのプレミアムモデルのカギを握るのは、有機ELパネルだ。アップルはサムスンに7000万ユニットの有機ELパネルを発注したとも言われており、2017年に発売する新型iPhoneについては、当面、サムスン1社が有機ELパネルを供給するとみられている。
アップルはLGやジャパンディスプレイなど、サムスン以外のサプライヤーに対する投資を通じて、サムスンだけにディスプレイを頼る体制からの脱却を急いでいる。しかしLGの有機ELパネルでは歩留まりの問題も指摘されており、iPhoneのように膨大な規模の供給を叶えるには至っていない。
競争がない状態であることから有機ELパネルの価格は120~130ドルと、5.5インチ液晶パネルの倍近くになると考えられており、iPhoneのプレミアムモデルが1000ドルを超える価格になると予測される大きな要因と考えられている。