昨2016年、ファーウェイはMateBookによってPC製品のカテゴリに参入した。なぜ、踊り場にあるともされ儲けの旨みが少なそうなPCビジネスに参入したのか。万彪氏(Wan Biao chief operating Officer)は、パソコンは現代人に欠かせない存在であり、それがなければ仕事が進まないという。今後は、AIが出てくることで、パソコンが新しい原動力になるのは違いないともいう。

万彪氏(Wan Biao chief operating officer)

現在の市場に元気がないのは、このカテゴリにイノベーションがないからだと同氏は分析する。スマートライフのオールシーン、オールシナリオにおいて、スマホがあってパソコンがあって、タブレットがあって、家庭内ではスマートホーム、移動するときには…と、暮らしの中のあらゆるシーンとそのシナリオを考えて、それぞれのシーンに必要なデバイスを用意しなければならない。だからこそのパソコンだ。そこにパソコンが不在でいいわけがない。

世の中は、AI対応が企業の今後の明暗を分けるといわれている。ファーウェイもAI対応には抜かりなく、たとえば同社製チップセットのKirinプロセッサAI対応も進めている。さらにゲーミングとVR、ARといった分野も注目が集まる。こうして業界にとっては大きく成長する可能性がある分野はいくつかある。ただ、ファーウェイは基礎固めに専念したいと万彪氏。今のところはビジネスパーソン向けに競争力のあるものを作りたいというのが同社の考えだ。

ただ、具体的な製品作りでは、保守的な面とイノベーションが錯綜する。たとえば先日世に出たクラムシェルタイプのノートPC「MateBook X」はタッチ操作に非対応だ。タッチに対するニーズは大きいことはわかっていたが、企画段階で軽量を求めた結果、今回は見送ったという。次回は必ずと万彪氏。そこを急いではいけないことを同氏はわかっている。まずは基礎固めが重要だ。

MateBook X(ローズゴールド)

ファーウェイが考える「欲しいと思われるパソコン」には3つの条件がある。

  • 高性能であること
  • 見た目がいいこと
  • バッテリが長持ちして携帯性に優れていること。

これらを厳守した上でイノベーションを付加価値として提供できればいい。レガシーあってのイノベーションだからだ。

イノベーションは総合的な概念であり、極上のユーザー体験を追いかけることでもある。同社ではさまざまな観点からそれを求め、何ひとつ犠牲にすることはないようにしたいという。ハードウェアに限らず、ソフトウェアも同様だ。そして、パソコンとスマホとのシームレスな連携を提案していく。

ファーウェイの勢いが止まらない。さて、次はどんなイノベーションを見せてくれるのか。