人気の「先読み撮影」は笑顔を逃がさない
ソニーモバイルは、国内のXperia XZsのプロモーションでハイスピード動画を中心に据えていたが、安達氏が「意外だった」と振り返るのが、「先読み撮影」機能で、もっとも好評を得たという。
先読み撮影は、カメラを向けて被写体の動きを検出すると自動で撮影を開始し、シャッターボタンを押してからさかのぼって最大4枚を保存する機能だ。スマートフォンのカメラは瞬間を捉えることが難しく、シャッターチャンスを逃しがちだ。その点、先読み撮影がうまく動作すると、今まで撮り損ねていた決定的瞬間が記録できるようになる。
日常的に使われる機能である分、先読み撮影機能の満足度は高かったそうで、Xperia XZ1シリーズでは機能追加として、笑顔の先読み撮影を可能にした。
この機能では、通常の先読み機能と同じ形で、被写体の笑顔を検出して記録を開始し、シャッターボタンを押した瞬間からさかのぼって最大4枚を保存する。今までは動きしか検出しなかったが、表情の変化も捉えられるようになったことで、さらにシャッターチャンスを逃しにくくなった。単に等間隔で4枚保存するのではなく、「一番の笑顔を保存する」ように狙っているという。
笑顔を今回選んだのは、「社内でも表情の変化では笑顔のニーズが断トツだったから」と間下氏。表情の変化の検出は今後も検討していく方針を示し、今後もチャンスがあれば拡張したいという。ニーズとしては笑顔の次に驚きの表情が高かったそうで、さらに目つぶり、目線の外れの検出の要望も高かったという。動き検出や笑顔検出は、「記録する」ための機能だが、目つぶりなどは「記録しない」という方向性で、こうした双方のニーズがあるそうだ。
もう1つの新機能であるオートフォーカス連写は、0.03秒という高速なAF速度を生かして、連写中に1回ごとにAFを動作させてピントを合わせる機能だ。これまでは連写開始時に設定したピント位置を変えずに連写をしていたため、移動する被写体に対してはピントが外れてしまう可能性があった。
レンズ交換式カメラでも一部では同様の機能もあるし、コンティニュアスAFでピントを合わせ続けるカメラもあるが、スマートフォンでこうした機能を搭載したのは珍しい。
高野氏によれば、「電車ぐらいのスピードだと難しい」とのことだが、子供やペットの動きぐらいであれば追いつけるそうで、日常の用途としては十分な機能だと言えそうだ。
AF連写が今回搭載された理由については、これまで2300万画素センサーを搭載していたことでフル画素でのAF連写が難しかったなどの制約があったが、これが解消されたことで「納得のいく連写の条件がそろった。いいタイミングだった」(間下氏)からだという。
もう1つの新機能が3Dクリエーターだ。静止した人物や料理などの物体の周囲でカメラを動かして連続撮影し、それを合成することで3Dオブジェクトを作成する機能で、.objフォーマットで保存される。一般的なファイル形式のため、PCなどで再利用も可能だが、スマートフォン内でCGと合成してアバターとしたり、SNSで送信したり、3Dプリンターで出力したりといった使い方もできる。
すべてローカルで処理しているが、他社では「サーバーで解析して出力に1時間ぐらいかかるような作業」(遠藤氏)を、わずか1分程度で実現している点が特徴だ。
独自技術によって多くのポリゴンを合成することで解像度が高くなめらかで自然な3Dオブジェクトを生成可能にしているが、ポリゴン数の上限を設けていないため「細かく撮影すれば撮影するほどちゃんと再現できる」(同)という。