さて、早速S先輩に企画趣旨を説明したところ、快諾をいただき、お互いのスマホのメッセージ機能によって、「現在、どの辺にいるのか」という連絡を当日にやり取りすることになった。そして何時の新幹線に乗るのかたずねてみたところ、8時30分東京駅発の「のぞみ17号」だという。7時50分頃には自宅最寄り駅を発つという話だ。

ならば筆者も、7時50分頃に自宅最寄り駅を出発して搭乗できる航空便を選ばなくてはならない。候補は2便。9時35分羽田発の「ANA675」か、9時50分羽田発の「JAL257」だ。ただ、自宅最寄り駅から羽田空港国内線ターミナル駅までは1時間以上かかる。チェックインや保安検査の時間を考えると、ANA675では少々危険だ。ここはJAL257に搭乗することに決めた。

ちなみに、検証日の数日前に「お互い、会社から同時スタートしてみては?」とS先輩に提案したことがある。だが、S先輩は「長距離の出張前に一度会社に寄るのはマレでしょ。直行のほうがリアリティは高い」とのこと。「確かに……ちがいない」と納得し、自宅最寄り駅を同時間にスタートするという方式となった。

さて、当日は台風5号の影響に若干心配があったが、すでに北東に過ぎ去り電車に遅れもなく、羽田空港に9時過ぎに到着。保安検査を済ませ、搭乗ゲートロビーに9時20分頃、到着した。9時35分発のANA675では、超ギリギリだったわけだ。

スタートでかなり差がつく

8時30分の発車を示す掲示板

ここで、スマホを確認すると、8時30分過ぎに「発車したよ」というメッセージが残っていた。わかってはいたことだが、「ウワ、もう50分前に出発しているのか!」と冷や汗をかいた。そこで「今どこ?」とメッセージを送ってみたところ、「静岡かな? それとも浜松?」とあいまいな返信がきた。

これは、あとから聞いたことだが、S先輩は車内で文庫小説を読んでいたのだそうだ。新幹線に乗車中、現在地を知るスベはおもに以下の3つだろう。「通過する駅の表示板を読み取る」「車両にある掲示板の“○○駅を通過しました”の表示をチェック」「地図アプリを起動して現在地を調べる」だ。1番目は窓側席かつ、人間離れした動体視力がなければまず無理。2番目3番目は、常に掲示板やスマホをチェックしなくてはならず、こちらから企画への協力をお願いしているS先輩に強いるのは心苦しい。現在地があいまいな答えになっても仕方がないというものだ。

ただ、こちらは羽田空港からまだ1歩も進んでいないのに、S先輩の返信から東京~名古屋間の半分ぐらい、いや、それ以上進んでいるのかもしれないというのがわかった。