――『有吉反省会』にも出演。お茶漬け好きを反省していましたね(笑)。
なんで反省しなきゃいけないんだろうなという感じなんですが(笑)、お茶漬けが大好きなんです。納豆と米、あと蕎麦。蕎麦にコーラ入れて食べたりするんですよ。これは反省しなきゃいけませんね(笑)。
――えっ!?
最初はめんつゆで途中からコーラ(笑)。これがね、またウマイんですよ。
――驚きました(笑)。収録はいかがでしたか?
すごく緊張しました。普段あまり緊張しないタイプなんですが、ひな壇に座ったことがなくて、しかも出番が最後だったので最後までしゃべっちゃいけないのかなとか。振っていただいた時も顔でアンサーするみたいな謎の行動をしてしまって(笑)。初戦敗退でしたね。もっとガンガンいけばよかったと反省しています。
――禊はデヴィ夫人にラップを仕掛けることだったそうですね。
デヴィ夫人さんにはただひたすらご迷惑をお掛けしましたよね。本当に申し訳ございませんでした。でも、きちんと応対してくださいました。しっかりをお叱りのお言葉をいただいて(笑)。それでもひな壇の方が緊張しましたね。緊張と恐怖。緩和がないんですよ。デヴィ夫人さんへのラップはカッコイイんですが、謝っている時の自分がカッコ悪い(笑)。
――一方、ドラマ『わにとかげぎす』(TBS系)では俳優にも挑戦されています。
これもまた別の緊張感。どうしていいのか分からないのと、「もう本番?」みたいな連続です。自分で撮影が止まらないように、「NG出さないように、NG出さないように……」と念じながら。カメラが回ってさっきと間が違うと、俺のせいじゃないよね? 違うよね? と気になってしまいます(笑)。
――これからも演技の仕事は続ける予定ですか?
ぜひともやらせていただきたいです。ただ、これはラップとは全然別角度で、セリフはセリフ。ラッパーではなく俳優としての務めを求められます。音楽とは全く関係のないお仕事であって、そこに関してはズブのド素人です。ダサいとなんと言われようと、ドラマの中では役者。
たとえば、ラッパーの役でそのラップに納得がいかなかったらやりたくない。軸がぶれないように自由にやらせていただけるのであれば全然問題ありませんが。
昔から伝わる対話の「音」を深めたい
――先ほどの話にもありましたが、ラッパーとしての許容範囲があると、仕事として成立するわけですね。
ラッパーは「歌詞」が資本なんですよ。それがアーティストイメージに直結します。結構繊細な部分ではあると思うんですけど、たとえばダサいラップを強いられてそれを受け入れてしまうと、それがずっと残ってしまう。結局は自分にとってのマイナスプロモーションになってしまうわけで、一つひとつの見せ方をナルシストのごとく気にするのがラッパーなんですよ。だからこだわりがあって、お高くとまってると見られがち。
――これを理解してくれる人と仕事をしたいと。
生意気な意見なんですけどね。「いいから言われた仕事をこなせよ!」と思われるのが当然のことだと思います。なので、少しだけ寄せてくれると、番組も面白くなってラップもかっこよくなって相乗効果に。『全力! 脱力タイムズ』はまさにその極みというか。こちらの意見を尊重してくれるので、ガッツリやることができています。
――あれがガチガチに決められたものだと、あの面白さは出ないわけですよね。
たぶんそうでしょうね。自然な面白さは出ないでしょうね。
――テレビ業界の方々にも読んでもらえているので、ここは絶対に載せておきたいと思います。
ありがとうございます。このインタビューの後にACEはパッタリとテレビから姿を消した……みたいにならないようにがんばります(笑)。
これからもメディアに出続けたい。ラップを文化と絡めたいと昔から思っていて、ラップはトンチをきかせたりする巧みな言葉遊びです。本当に奥が深いのでそこを浸透させて、将来的には公園で子どもたちがラップでバトルするような光景が楽しみです。今はゲームとかカードでバトルするのが当たり前だと思いますが、ラップはコストがかかりません。例えばこんな感じ。じゃあお前、今日は「キリン」やれ! じゃあ、俺は「ゾウ」やるぜ。「キリン」対「ゾウ」スタート!
「俺はキリンだ! 俺の奥さん美人だ!」
「そんなんウソ! 俺はナウマンゾウ!」
なんだよそれ! みたいに楽しむことができるんですよね(笑)。それぞれの個性が輝いて、そしてケンカにもならない。僕ら人類が、昔から相手と対話するための「音」。その日本語をもっと深めたいですし、そこに1ミリでも貢献できればいいなと思います。
■プロフィール
ACE
1990年3月17日生まれ。ブラジル出身。A型。身長185センチ。3歳で日本に移住。数々のMCバトルで優勝してラッパーとしての地位を確立し、2015年にアルバム『STRAIGHT』を発売。多数のCMに起用される。テレビ朝日系のラップバトル番組『フリースタイルダンジョン』にレギュラー出演中。フジテレビ系『全力!脱力タイムズ』で日本の食を紹介するコーナー「THE 美食遺産」では、滝沢カレン、ELT・伊藤一朗と共に不定期でナレーションを担当している。TBS系ドラマ『わにとかげぎす』に堀田役で出演。2017年9月29日から上演される舞台『TOKYO TRIBE』にも出演するなど、ラップ以外の分野でも幅広く活躍している。