写真甲子園2017こと「第24回 全国高等学校写真選手権大会」が7月25日から28日まで北海道・東川町を中心としたエリアで開催された。和歌山県立神島高等学校が優勝したのは速報の通りだが、ここでは、夏の北海道で繰り広げられた熱い写真魂のぶつかり合いを紹介しよう。
写真甲子園、その「本戦」とは
今年で24回目を数える写真甲子園は毎年7月下旬に本戦が行われる。主催者は、東川町/美瑛町/上富良野町/東神楽町/旭川市/北海道新聞社/全国新聞社事業協議会で構成される写真甲子園実行委員会だ。本戦に出場できるのは全国から選ばれた18校。まず、8枚1組の組写真を応募し、全国11ブロックで開かれる初戦審査会を通過して、次にブロック別公開審査会を突破しなければならない。今年の初戦応募校数は526校あり、本戦に出場するだけでもすさまじく狭い門だ。筆者は東京ブロックの公開審査会で代表校が決定する瞬間を見てきたのだが、その時の選手たちの喜びようは今でも記憶に残っている。
本戦は4日間かけて行われ (初日はオリエンテーション)、朝起きてから夜寝るまでそれこそ「写真漬け」の毎日を送ることになる。朝8時から撮影ステージが始まり、15時からはセレクト会議、夜には公開審査会が行われる。撮影前日に作品のテーマが指定されるので、それに沿って写真を撮って選び出し、組写真として構成する。1日目のテーマは「自然」だったが、2日目、3日目は人に関わるテーマだったので、コミュニケーション能力を問われる大会でもあった。
カメラ機材については公平性を保つため、特別協賛のキヤノンおよびキヤノンマーケティングジャパンより一式が選手に貸し出しされる。今年は4月に発売された最新モデル「EOS 9000D」を中心としたセットだった。
じっくり作品づくりができる初戦と違い、時間に制限がある本戦では迅速な行動がカギとなる。一つのステージで撮影できる時間は2時間。その間にテーマに当てはまる被写体を探し出し、考え、時には感性に任せてシャッターを切る。とにかくシャッターボタンを押さないと始まらないので、優勝した神島高等学校の恵納崇先生が言っていた「1分に1回、自分の感情を高めてシャッターを切る」に、ああ、なるほど! と思うわけだ。
提出できる作品は撮って出しのJPEGのみ。撮影後にPCでレタッチすることは禁止で、ホワイトバランスとピクチャースタイル (※1) のみ変更できる。もちろん、クリエイティブフィルター (※2) もNGだ。
※1 キヤノン独自の色調プリセット。「スタンダード」「ポートレート」「風景」「ディテール重視」「ニュートラル」「モノクロ」などが用意されている
※2 キヤノン独自のデジタル処理による画像フィルター効果。「ラフモノクロ」「HDRグラフィック調」「トイカメラ風」「ジオラマ風」などの効果を適用できる。