さて、ここまで、実際にホワイトハウスで米国時間7月26日に行われた発表は次の通りだった。
FoxconnのCEOであるGoh氏が冒頭に登場。また声明では、10億ドルの投資と13,000人の直接雇用を行い、間接雇用は22,000人を見込む、米国最大の製造業投資プロジェクトとなる、とを明らかにした。シリコンバレーに倣って「ウィスコンバレー」と名付けられたこのプロジェクトでは、シャープとともに液晶ディスプレイ工場を建設し、最先端の技術のグローバルな集積地を目指すとしている。
会見のポイントは、米国の製造業の再興と、米国内での雇用創出の成果を挙げたことであり、トランプ大統領は「我々が米国が求めていたこと」と位置づけた。
トランプ大統領が前述の記事で語った「Apple」という名前は会見中、特に出てくることはなかった。液晶ディスプレイについても、医療やエンターテインメント用途と言及するに留まっており、iPhone向けの次世代ディスプレイが作られるかどうかについては明らかにならなかった。
Appleは米国内の先端製造業に対する投資ファンドを設けており、すでにAppleにガラスを供給しているサプライヤーであるCorningへの出資を決めている。
液晶ディスプレイの米国への工場建設が明らかになり、どのような製品が出荷されるのか、そして価格や技術的な競争力はどうなるのか。Appleとの関係性などについて、今後も動きを注視していく必要があるだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura