梅田氏は、「航空機の需要減少による機体メーカーの生産抑制の影響を受けた」と減収の理由を語る。アビオニクス事業は「2016年度第1四半期までは絶好調だった」と語るように、パナソニックの成長戦略の中核のなかの中核だった。しかし、この1年で状況が一転してしまったのだ。

その背景には、機体の生産抑制だけでなく、梅田氏が指摘するもうひとつの理由がある。それは、「二極化」という動きだ。

B2Bなどでコネクティッドソリューションズ全体は好調も、アビオニクスが足を引っ張る形に

「機内にタブレットやスマホ、PCなどを持ち込んで利用するケースが増え、エコノミークラスの座席にモニターを設置しない飛行機会社が増加している。一方で二極化の傾向として、ファーストクラスやビジネスクラスは、大型モニターを必ず設置する動きが依然として見られている。機内エンターテインメントシステムの需要が無くなるわけではないが、需要が伸びるとは思っていない」

機内エンターテインメントシステムの競合は同業他社ではなく、タブレットやスマホ。つまり、競争軸が異なる「敵」と戦うということになる。

パナソニックは、機内エンターテインメントシステムに関するグローバルのサービスおよびメンテナンス拠点を通じての収益確保とともに、機内無線LANサービスのシステムを提供する通信事業において、収益を確保する方向へとシフトする考え。2015年には米中堅衛星通信会社のICTグローバルを傘下に収めており、通信事業でもビジネスを加速している。

梅田氏は、「アビオニクスは第2四半期以降、減収減益幅が縮小すると見ている」とするものの、この言葉はマイナス成長がしばらく止まらないと解釈した方が良いだろう。機内における乗客の楽しみ方が変化するなかで、アビオニクス事業が次の成長の柱を見いだせるかが、今後の鍵になるのは間違いない。

eコマースが新たな敵へ

同じように、競争軸の変化の影響を受けているのが、ハスマンだ。

ハスマンは、北米を中心に冷蔵ショーケースなどを製造・販売するメーカーで、2016年にパナソニックが買収した。パナソニックが高成長事業に位置づける「食品流通」の中核企業の1社に位置づけられる。ハスマン単独の業績こそ公開していないが、ハスマンを含む食品流通事業の第1四半期売上高は前年同期比8%減の668億円であり、アビオニクスに続いて前年割れが大きい事業だ。