パナソニックの津賀一宏社長は、2017年度を「パナソニックが実質ベースで増収増益に転じる年」と位置づける。その2017年度の「最初の通信簿」となる第1四半期連結業績が発表された。
デジカメはハイエンドにシフト
これによると、売上高は前年同期比5.1%増の1兆8652億円、営業利益は16.9%増の839億円、税引前利益は9.9%増の819億円、当期純利益は67.1%増の487億円だった。パナソニック 取締役執行役員CFOの梅田 博和氏は、「第1四半期から増収増益を達成し、順調なスタートを切ることができた」(以下、発言同氏)と総括する。
二次電池などの車載関連事業が大きく成長しており、「営業利益はアビオニクスの減販損や、原材料価格の高騰の影響を受けたが、車載・産業分野への『転地』が進むインダストリアル事業の収益向上により、全体では増益となった」と続けた。為替や新規連結を除く実質ベースでも3四半期連続の増収となり、「実質的に増収の基調が続いている」と胸を張った。その点では、まさに「順調なスタート」という自己評価は間違いないだろう。
実際、アプライアンス、エコソリューションズ、オートモーティブ&インダストリアルシステムの3つのカンパニーは増収増益。特にアプライアンスは、家電が高付加価値商品へシフトしているのに加え、2016年度は国内家電市場で過去最高となる27.5%のシェアを獲得している。
「2017年度第1四半期もトップシェアであり、シェアは高まっているだろう」と発言し、過去最高シェアを更新している可能性を示した。収益改善が重要な課題だったAV家電も「テジカメは、ハイエンドモデルへとシフトしており、LUMIX GH5が品切れを起こすほどの売れ行き。4Kテレビも販売強化により増収基調にある」とした。
そして、「想定以上に原材料価格が高騰し、その影響を最も受けているのがアプライアンス」としながらも、その影響を吸収して増益を達成。これは、オートモーティブ&インダストリアルシステムやエコソリューションズも同様だ。梅田氏は「合理化や固定費管理を通じて、その影響を最小限に抑えた」と語り、経営体質が強化されていることを強調してみせた。
競争軸の異なる"新たな敵"
ただ、懸念材料がいくつかあるのも確かだ。ひとつは、航空機向けエンターテインメントシステムなどのアビオニクス事業の減収。同事業の売上高は前年同期比で17%減となる619億円。開示されている事業部情報のなかで、最も落ち込みが大きい。