自己投資産業にフォーカスしてドメインを拡大
何が自己投資産業に入るかを見極めれば、今後、ライザップが事業を拡大していく方向性も想像できるようになる。例えば資格取得はライザップの新たなドメインになり得るか聞いてみると、瀬戸社長からは「あり得る」との回答を得た。しかし、ライザップとしては、自身の強みが発揮できない分野に入り込むつもりはないという。
新規事業については、ゴルフは会員数が大幅に増加しており、出店ペースも上がっている。2016年度の決算説明会で瀬戸社長は、「ゴルフは売上で10倍以上をたたき出したい。損益も黒字転換を目指す」と語っていたが、この目標を達成すべく、現在は積極的な事業展開を進めているようだ。英会話は現状2店舗だが、2017年度は本格展開を図る方針。料理教室についてはテストマーケティングが「大好評」(決算説明資料より)だったとのことで、すでに本格展開が決定済みだという。
ビッグデータで顧客に合った提案を
事業拡大に向け、買収という手法を効果的に使っているのもライザップの特徴。最近では、「ジーンズメイト」に代表されるようにアパレル企業を傘下に置く例が多い印象だが、当然ながら、衣服も自己投資産業の範疇に入る品物だ。ライザップは「ビッグデータ」を活用したアパレル事業の構想も温めているという。
「ライザップで痩せた人は過去の服が着られなくなりますし、以前とは違う、シャープな服を着たくなるかもしれません。そんな時に、例えばかっこいいオーダースーツがあってもいいかもしれません」。ビッグデータを活用したアパレル事業の話として、瀬戸社長が語った言葉だ。累計8万人に及ぶジム会員のデータを用いて、どんな人が、どのような体型を獲得するのかを分析していけば、各会員に適した衣服を提案することも可能になる。そういう意味では、ライザップとアパレルの相性は良さそうだ。
すでにスポーツアパレル事業を展開しているライザップ。今年の3月から4月にかけて、大阪の阪急うめだ本店に出店した期間限定のショップでは、そのフロアで創業以来1位の売上を叩き出す日もあるなど、反応は上々だったという(阪急うめだ本店に展開したアパレルショップの画像、提供:RIZAPグループ) |
会員がどのような商品を求めているかを分析することは、ライザップが事業拡大を進める上での指針にもなる。痩せた人が欲しがるものが服だけとは限らない。顧客に提案すべきものが何かが分かれば、グループに足りない要素を割り出すことができる。そうすれば、次に買収すべき業種の選定も容易になるという寸法だ。
ジムには拡大の余地があり、新規事業の育成は加速中。そして、買収を通じた業容の拡大にも余念がないライザップだが、結局のところ、目指す姿は何なのか。それを一言で表しているのが、「ライザップ経済圏」という言葉だ。