その先の戦略…インド、中国再参入
--東芝ライフスタイルの2017年の黒字化を前提に、次の成長ステップはどう描きますか?
石渡: 2018年度を初年度とする3カ年の中期経営計画を現在策定しているところです。成長戦略とともに、積極的な投資も進める考えであり、これをマイディアグループのなかで承認してもらい、実行に移したいと考えています。今年は、この中期経営計画の立案が重要な取り組みのひとつになります。具体的な数値はいえませんが、描いている姿のひとつが、3カ年計画が終わった時に、これまで以上に、グローバルで展開する企業を目指すという点です。米国や欧州という東芝の白物家電事業にとっては未開拓の市場に入っていくこと、インド、中国という一度撤退した市場にも再参入したいですね。2020年度には、東芝の白物家電がグローバルブランドとして、世界中で事業を展開する企業になりたい。そうした企業に変身したいと考えています。
私は、東芝で、最初の20年間はテレビやビデオなどの映像事業を担当し、次の10年間はPC事業をやり、直近の10年間で家電事業を担当してきました。東芝は、かつて映像事業やPC事業で、世界ナンバーワンを取った経験があります。TOSHIBAブランドの白物家電でも、グローバルでビジネスをやり遂げたい。それをやるために、東芝グループでやるよりは、マイディアグループでやる方が、将来が開けると考えています。
マイディアグループにとっても、グローバル化は大きな方向性のひとつであり、優れた商品を開発し、効率的な経営を行い、それによって、グローバルで戦う姿勢を持っています。マイディアグループが、世界展開を強化する上では、世界に通用するTOSHIBAブランドが必要だといえます。東芝ライフスタイルにおける現在の海外売上比率は約3割ですが、2020年には、50%を超えることになるでしょう。
ただ、日本でも、アジアでも、もっとシェアを伸ばしたいと考えています。日本では、シェアを回復して、トップ3の一角を入りたいと思っています。そのためには、現在、10%のシェアを20%近くまで高める必要があります。
「PINT」に込められた約100年続く東芝白物家電のDNA
--ところで、東芝ライフスタイルでは、コミュニケーションスローガンとして「PINT!(ピント)」を掲げていますね。ここに込めた意味はなんでしょうか。
石渡: 実は、先日のマイナビニュースの記事で、日本で最初に発売した東芝の洗濯機を取り上げていました。その際に、当時の新聞広告も掲載していたのですが、そこに、書かれていた内容は、洗濯機を使うことで、主婦が自分の時間を作ることができ、読書の時間に当てることができるという提案でした。
これは、東芝の白物家電事業が、いま、まさにやらなくてはならないことだと思っています。つまり、「モノ+コト」が大切なのです。洗濯機はなにができるか。当然、洗濯ができます。だが、それをモノとして売っているのではなく、モノを通じて、ライフスタイルを変えることを、97年前の東芝の先輩たちは提案してきたのです。これは、消費者目線で役に立つものを作り、消費者のライフスタイルを安全で、快適なものにしたいという姿勢の表れであり、ここに東芝の白物家電のDNAがあります。それを支えるTOSHIBAブランドとしての品質や使い勝手の追求は脈々と続いています。