さて、本題の使い勝手について解説しよう。まずは新型Surfaceペンのレビューだ。Surface Proは新型Surfaceペンと組み合わせることで、4,096段階の筆圧感知機能、傾き検知機能、そして21ミリ秒のレイテンシー(遅延速度)を実現している。
4,096段階の筆圧感知機能については正直体感できなかったが、傾き検知機能は対応する書道アプリ「Zen Brush 2」で筆を数分走らせただけで、イラストを描く人には必須の機能だと実感できた。傾きによるペンタッチをコントロールするのには慣れが必要だ。しかし、それを自在に操れるようになれば多彩な筆遣いを表現できるようになる。
「Zen Brush 2」は筆圧だけでなく、ペンの傾きで線の太さをコントロールできる。身近なアプリでも傾き検知機能を活用できるように、「Windows Ink ワークスペース」の「スケッチパッド」でもぜひ対応してほしいところだ |
新型Surfaceペン、体感の遅延は5ミリ程度に
21ミリ秒のレイテンシーは以下の検証方法で体感できた。画面の端から端まで2~3秒かけてペン先を走らせると、Surface Pro 4では1cm弱ほど描線が遅れるが、Surface Proではその遅れは5ミリ以下に収まる。文字を書いているときには21ミリ秒のレイテンシーの恩恵を受けることはないが、なだらかな曲線をゆっくり描くときなどに役立つだろう。
新型Surfaceペンは高い評価を得ているだけに、発売が本体から大きく遅れること8月15日を予定しているのが非常に残念だ。待ちきれずに旧型Surfaceペンを購入した人も、新型Surfaceペンへの買い替えを強くオススメする。
Surface ProとSurface Pro 4の描線の追従性を比較してみた。Surface ProはいったんCPUを介さずに描画を行ない、そのあとに正確に計算された線を再描画している。この仕組みにより21ミリ秒のレイテンシーを実現している ※音が出ます |
操作デバイス「Surface Dial」も本領発揮
Surface ProとSurface Pro 4のもうひとつの大きな違いがホイール型デバイス「Surface Dial」との連携機能。Surface Dial自体はSurfaceシリーズだけでなく、保証外にはなるがほかのPCでも利用可能だが、Surface ProとSurface Studioだけで実現するのが「ダイヤルオンスクリーン」機能。ディスプレイに置くと、その周囲に円形メニューを表示する本機能は、Surface Dialが置かれたことと、その位置情報を取得できるSurface ProとSurface Studio以外では利用できない。
ダイヤルオンスクリーンを利用できないPCでは円形メニューが画面中央に表示されるので、画面が見づらくなるし、操作も直感的とならない。Surface Dialの本領を発揮させたいのならSurface ProまたはSurface Studioが必須だ。
液晶を寝かせるスタジオモードはより平たく
地味な進化点だがディスプレイを寝かせて使用する「スタジオモード」も使いやすくなった。Surface Pro 4では実測15度までしかディスプレイを倒せないが、Surface Proでは実測7度まで寝かせられる。8度をわずかな差だと考える方もいるかもしれないが、長時間クリエイティブな作業に従事した際の効率や疲労度は大きく変わるはずだ。
冷却システム新設計で動作音が低減
Core m3とCore i5モデルはファンレス化されているが、Core i7モデルは従来どおり冷却ファンが搭載されている。しかし冷却システムも新設計されており、高負荷時でも従来モデルより動作音を低減している。実際に、Core i7を搭載するSurface ProとCore i5を搭載するSurface Pro 4で「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」実行時の冷却ファンの音を比較してみたが、計測器を使うまでもなく、耳で聞くだけで明らかに動作音が低減されているのを確認できた。
オフィスアプリを使ったり、ブラウジングしているときに盛大に冷却ファンが回ることはないが、喫茶店などで写真を現像したり、動画を書き出すようなときにも周囲に迷惑をかける心配はなさそうだ。
Surface ProとSurface Pro 4の高負荷時の動作音を交互に収録した。もともとSurface Pro 4の動作音も極端に大きいわけではないので、ヘッドフォンやイヤフォンで両者の音量の差を確認してほしい ※音が出ます |