約1年前の2016年4月に第1回を開催した「Windows Insider Meetup in Japan」だが(参考記事)、今年もWindows Insider Program(以下、WIP)参加者を招いた第2回を2017年6月17日・大阪、6月25日東京で開催した。
最初に登壇した日本マイクロソフト Windowsプロダクトマネージャーの春日井良隆氏は、社内の組織を簡単に説明しながら「コンシューマーチームは自分を含めた2人で対応している」「1日に数時間はWebやニュースレターを確認し、Windows 10のユーザーインタフェースのローカライズチェックを行っている。直訳ではなく、日本語としての単語の組み替えなども作業の1つだが、追いつかなくて日本語がおかしくなってしまうことも」と苦労を語る。その上で、Windows 10の訴求戦略の実践など、日々のプロダクトマネージャー業務を説明した。
WIPの概要については、マイクロソフト ディベロップメントの入谷優氏とAndrew Zhygmanovsky氏が担当。イベントの来場者は大半がWindowsインサイダーのため、入谷氏は日々のフィードバックに感謝しながら、「(フィードバックによってWindows 10の)開発が成り立っていることを強く感じる。社内でも広く浸透し始めた」(入谷氏)とWIPの重要性を強調した。
こぼれ話的に面白かったのが、次期大型アップデートとなる「Fall Creators Update」の名称。Microsoftはグローバル企業のため、「南半球(のMicrosoft支社)からクレームが来ている。『我々はFall(=落ちる・倒れる)ではない』と」(春日井氏)。名称には違和感を覚えるという社内の声もあるようだが、現時点で変更予定はないそうだ。
WIPの特徴として入谷氏は、「新しい機能をいち早く試していただく」「利用状況に関するデータとフィードバックをいただく」ことを重要視し、一方で「すべての文字を公開前に翻訳する」「既知の問題をすべて事前に修正する」ことは次点だとしている。
理由として、新機能を実行するボタンが実装された場合、UIバランスなどを考えながら適切な日本語化を行うが、文言を思案している最中に開発者が実装形式をスライダーなどに変更した場合、思案した時間が無駄になってしまうからだ。日本市場を軽視しているわけではないとしつつ、誤訳に関してはフィードバックしてほしいと述べた。
フィードバックが開発に役立った一例として、Windows 10開発チームが気付かなかったバグがCreators Updateリリース直前に発生していた例を紹介。具体的には、ビルド15042において、他社製のIMEを既定の入力方式に設定できなかったという。CTFローダーに起因する問題だったため、担当者は米国の開発チームへ連絡し、その後のビルドで問題を解決した。