LINEが目指すのはLINEポイント経済圏の構築か

LINEショッピングを使うユーザー側のメリットとしては、LINEアプリから移動せずに買い物ができることと、LINEポイントへのポイント還元が挙げられる。一方、出店者側のメリットとしては、まず国内で6800万人といわれるLINEのユーザーが潜在的顧客になることだ。

顧客とのコミュニケーションという点においても、メールアドレスを登録させて定期的にニュースレターを配信するなどの手間を考えると、LINE@を使って友達登録させるほうが顧客の心理的な障壁も低い。クーポン等を配信するのも手軽で、手間が省けるというのは大きな魅力だろう。今後の展開としては、位置情報やビーコン等を使ったリアル店舗への誘導や購買促進なども考えているということで、いわゆるオムニチャネル戦略にも踏み込んでいく。

ただし、LINEショッピングへの掲載には審査が必要で、LINE側は審査基準を公開していない。LINE自身が「既にLINEショッピングと連動している ECショッピングサイト/ECショッピングカートに商品を掲載いただくと、そのECショッピングサイト/ECショッピングカートを通じてLINEショッピングへ掲載されます」と説明するほどで、LINEとしては個人商店などはあまり相手にしていないように見える。

LINEショッピングのヘルプページに掲載法などが紹介されている(画像:LINEショッピングヘルプページより)

LINEショッピングへの掲載自体は初期費用を含めて無料だが、LINEショッピングを通じた売上の一定割合が手数料として必要になる。LINE側の収入源はこの手数料収入になるわけだ。手数料の割合も非公表だが、他社の例に倣えば、5%前後になると思われる。

LINEショッピングがLINEにもたらすものとしては、この手数料収入に加え、ユーザーがLINEポイントに接すると、LINEユーザーの購入履歴という行動データになる。後者については今後、AIクラウドサービス「Clova」などと組み合わせてリコメンドなどに利用すると予測され、直近はLINEポイントの影響力拡大を目指していると予想される。

ポイントサービスは各社が展開しているが、多業種間で利用できる共通ポイントということになると、楽天スーパーポイント、Tポイント、dポイントなどある程度限られる。こうした競合と比較したとき、LINEポイントはまだまだ知名度が低く、貯められるケースも、利用できるシーンも限られている。