差別化の手法3:ユーザー密着型サービスの展開
3つめは、mineoのようにユーザーとの距離感を可能な限り小さくして、ユーザー密着型のサービスとして展開することだ。mineoは独自のユーザー参加型コンテンツ「マイネ王」を展開しており、サービス側の開発者と共同で端末のテストを行ったり、ユーザーから提案のあったサービスを開始するなど、サービス提供者の顔が見えるサービスとして満足度No.1という座を射止めている。一度信頼関係を築いてしまえば、長期の関係を結ぶことができるため、解約率を下げることが可能なわけだ。
ただしこうしたサービスは、ユーザー数が少ないうちはいいが、ユーザーが多くなってくるとあっさりと破綻しやすいという問題も抱えている。大昔のパソコン通信のようなもので、ある種ユーザーの善意に任せているだけに、アナーキーなユーザーが一定の割合または数を超えると、その悪意を堰き止めきれなくなることがあるのだ。
また、いわば接客用のスタッフの負担が大きくなり、専業とするか数を増やすしかなくなって、本業に影響を与えてしまうのでは本末転倒だ。かなり繊細なハンドリングが必要になるだけに、どのMVNOでもできるというものではないだろう。逆にOCNモバイルONEがサポートで行なっているように、AIに任せてしまった方がいいのかもしれない。
いずれにせよ、元々MVNOというのはキャリア(MNO)ができないことをやるというのが存在意義なのだが、皆が皆同じ方向を向いてしまっているため、改善点なども共通化してしまい。結果として特徴らしい特徴を出すのが難しくなってしまっている。
もっと思い切った施策を打ち出して独自性を出さないと、 キャリアと直接競合することになり、結果的に規模の勝負で負けてしまう。小規模で小回りが効く点をもっと逆手にとったユニークなアイディアで勝負できるところが生き延びていくのではないだろうか。