「格安スマホ」という呼称とともに、MVNOもすっかり市民権を得て、一定レベルまで普及が広がってきている。昨年あたりから、市場全体の動きも価格競争からサービス競争へと移行しているが、サービス内容としては大きな変化がなく、停滞しつつある感もある。MVNOが次に向かうべき方向性とはどのようなものだろうか。

MVNOメイン利用者が1割を突破

MMD研究所がメディア向けに開催した勉強会では、2017年の春商戦までのユーザー動向の調査結果が明らかにされた。これによると、キャリアのサブブランドを含めたMVNO回線をメイン回線としている利用者が初めて10%を超え、男女ともに60歳以上のユーザーが増加傾向にあることがわかった。

ソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルがMVNOとして入っていない状態で7.4%、ワイモバイルを含めると10%を超える。なお実質auのサブブランドであるUQコミュニケーションズはMVNOに組み込まれている

これまで、MVNOの利用者はどちらかといえばITリテラシーの高い、30~40代の男性中心だったが、MVNO各社が展開してきた認知度向上のための施策が功を奏して、幅広い層のユーザーに訴求していることがわかる。

若年層だけでなく、比較的高齢層にも普及が進み始めた。高齢層にもスマートフォンの普及が広がっているということだろう

事業者ごとのシェアを見てみると、楽天モバイルが約20%とシェアトップを占めており、OCNモバイルONE、mineo、IIJmioまでで過半数を占め、それ以降は比較的団子状態といった感じだ

好調に見えるMVNOだが、最近はキャリアのサブブランドが低価格化を進めているほか、資本力にまかせて強力なCM攻勢をうつなど、MVNOにとっては厳しい状況も現れつつある。こうした資本力の差については各社とも思うところはあるようだが、総務省が動きだすような事態にならない限り、当面は自力で対応していかねばならないのも事実だ。