データ復旧センターの様子
バッファロー東京支社(中央区新川)のデータ復旧センターを見学する機会も設けられた。東京支社と同様の施設が、名古屋(大須)と大阪(新大阪)の支社にもあり、関東以北は東京支社、中部地方が名古屋支社、関西以西は大阪支社で受け付ける。各支社で対応するのは、HDDの場合は論理障害の中度と軽度、物理障害の軽度までで、重度のものはアドバンスデザインに送られて復旧を試みる。
データ復旧現場は、バッファロー社屋の一室を部外者の立ち入り禁止として使用。着荷した製品は、(1)受付、(2)製品解体、(3)初期診断、(4)クローニング、(5)データスキャン・抽出、(6)データ復旧の順で処理して、最後にユーザーへと発送する。復旧に要する時間は1~3営業日とのことだ。
基本的には流れ作業で、受付は着荷したストレージを確認して、1つ1つに管理番号を付与していく。続く製品解体では、筐体内部のHDDなどを取り出す。ここではHDDの円盤(プラッタ)までむき出しにはしない。バーコードシールを貼って管理する。
解体したHDDは、初期診断で物理障害か論理障害かを見極め、支社で対応できるかどうかを判断。可能であればデータをバックアップ(クローニング)する。データ復旧の目的はハードウェアの修理ではなく、あくまでデータを取り戻すことなので、クローニングができれば以降の作業はそれを利用し、壊れたHDDは極力動かさずに作業するのだ。
軽度な論理障害など、支社で対応できる場合は、データをスキャンして抽出し、データ復旧を試みる。あらかじめユーザーには修復に際して重視するデータを確認しており、そのデータから最優先で抽出する。無事にデータを抽出できた場合、データを復旧用のHDDに保存してユーザーに届けられる仕組みだ。
ハードウェアには耐久年数があり、HDDも一生使えるものではない。データが破損したときにデータ復旧サービスが利用できるのは心強いが、バッファローのサービスとて100%の復旧を保証するものではない。むしろ、冒頭で紹介した業界平均の約8割という復旧成功率は大きく変わらないだろう。
データ復旧にコストをかけるよりは、バックアップを取り、3~4年をめどにHDDを買い替えることが、より賢いストレージ運用といえる。とはいえ、長く使っていれば不慮の事故や操作ミスはつきものでもある。万が一のときのため、頭の隅に入れておきたいサービスだ。