データ復旧に対して、ユーザー側には価格やプライバシーなどの不安がつきまとう。悩んだ末に面倒になって諦めてしまう人や、そもそもデータ復旧サービスの存在を知らずにHDDを捨ててしまうユーザーもいる。
バッファローの調査によると、2014年における国内市場全体のデータ復旧依頼件数は約8万件。このうち復旧に成功したのは6万5,000件で、約2割はデータが消失したまま戻ってこない状態なのだそうだ。こうした背景を受け、バッファローがまずは自社製品のデータ復旧を始めることで、サービスの認知を高めて、ユーザーが安心してサービスを受けられるようにしようというわけだ。
事業を始めるにあたっては、先述の通り、22年間の実績を持つアドバンスデザインを2月に買収。アドバンスデザインは個人ストレージからクラウドサーバまで幅広く対応し、もちろん、バッファローの製品以外も取り扱っている。老舗の技術をバッファローのエンジニアが学び、復旧サービスを提供できる体制を整えた。
ストレージの障害には、物理的な破損である物理障害と、記録にエラーが起きている論理障害がある。バッファローの復旧本サービスでは、製品保証期間内の軽度な論理障害は無償だ。対象ストレージはHDD、NAS、USBメモリー、SSD、SDカード、光学メディアなど、バッファローのストレージ製品はすべて。保証期間外の古い製品でも有償で対応するが、他社製品に関しては今のところ対象外となる(アドバンスデザインでは他社製も受け付ける)。
見積もりと診断は無料で行い、診断は物理・論理障害のそれぞれで、重・中・軽の3段階で判定。料金は障害段階に応じて固定で設定されており、追加で料金が生じることはない。復旧したデータは新しいHDDに記録して納品するが、料金にはこのHDDの代金も含まれる。詳しい料金については、記事末に一覧表を用意したのでそちらを参照してほしい。
サービス拠点は東名阪の3カ所で、法人、個人を問わず受け付ける。今後は、故障予測サービスを2017年度中にも開始する予定だ。さらに、廃棄サービスの提供やサービス拠点の拡充なども計画している。
5月にサービスを開始して以来、既に数百件のデータ復旧依頼を受けており、70~80件程度は対処できているという。また、配送時のトラブル回避やスピード解決を求めて、約3割の依頼者が復旧センターに直接HDDを持ち込んでおり、特に法人ユーザーにその傾向が高いとのことだ。
このほか、現在販売されているHDDの購入者の約半数は、HDDをテレビ録画のために利用しているが、地上デジタル放送など著作権保護された録画データはコピーワンスの制約があるため、データ復旧できない状況になっている。バッファローでは、他のHDDベンダーとも協力しながら、コピーワンス規制の見直しに向けて取り組んでいきたいとした。