電力自由化・ガス自由化にハナシを戻そう。昨年の電力自由化により、数多くの企業が電力市場に参入したが、躍進したといわれるのが東京ガスだ。今年3月末の時点で約72万8,000件の契約を獲得した。東京電力の契約者数は2,900万件以上だが、同社としては見過ごせないだろう。
居住者との接点を増やす施策
この東京ガス躍進の立役者が、東京ガスライフバルだ。この企業は、ガス機器のメンテナンス・修理をおもな事業としている。ガス機器のメンテナンスなどは、基本的に居住者立ち会いのもと行われるが、その際にガス+電力のセットプランを“フェイスtoフェイス”で営業できるのが功を奏した。一方、電力は屋外にある電気メーターをチェックするので、居住者との接点は少ない。
東京電力は、そんな状況を忸怩たる想いでみてきたのだろう。このガス自由化に合わせ“秘策”を投入してきた。それが「住宅設備・家電修理サービス」と「生活かけつけサービス」だ。前者は月額250円で、購入・設置から10年以内のエアコン、冷蔵庫、洗濯機といった家電製品の故障を修理するというもの。後者は月額300円で水まわりのトラブル、カギ紛失時の解錠、割れた窓ガラスの撤去といった対処を行う。つまり、居住者との接点を増やす施策を開始したのだ。
さて、東京電力は7月1日からガス市場に本格参入する。このガス事業で反転攻勢となるか……勃発した「エネルギー平成の陣」の行方から目が離せない。