AppleのMacに対する取り組みの重ねての強化は、「前述のiPhoneのような存在を目指すMac」という戦略が一筋縄ではいかないとの見通しを反映するものとも言える。Bloombergなどからは、AppleはWWDC 2017で、ソフトウェアが主役の開発者会議にもかかわらず、新型のMacBookシリーズ3機種をリリースするとの報道が出始めている。

また、Appleがこれまで行ってこなかった、将来の製品の見通しについても、Macは例外となった。米国のメディアを集めたブリーフィングの中で、iMacの2017年のアップデートと、Mac Proの2018年の再設計について触れ、新製品を待つプロユーザーをつなぎ止めようとした。

これらは、Appleが、iPhoneのようなPC市場の覇権を握っていないのを示すには十分だ。Appleの代わりにその市場のトップに立っているのは、Microsoftだ。

現在のPC市場は、タッチ対応のディスプレイを備えたり、ディスプレイとキーボードを切り離して使用できるモデルが主流となっている。Surface ProやSurface BookといったMicrosoftブランドのコンピュータが登場し、各PCメーカーがこうしたフォームファクターを持つ2-in-1モデル、デタッチャブルモデルへの取り組みを強化している。コンピュータのトレンドを生み出しているは、Microsoftであると分析できよう。

1PCのトレンドを引っ張っているは、やはりMicrosoft

MicrosoftはWindowsをデスクトップからモバイルデバイスまで統一した開発環境に置いた。お世辞にも上手くいっているとは言えないWindows Phoneは措くとして、タブレット市場に対して与えた衝撃は大きい。

そのタブレット市場を支配していたのはAppleであるが、iPadの3年にも亘る長期的な低迷がそれを物語っている。SamsungなどのAndroidタブレットを作ってきた企業も、Windowsプラットホームへの流出が続き、タブレットの出荷台数を減少させる傾向が加速している。

Microsoftは2017年5月に入って、999ドルからのノートPC「Surface Laptop」を、そして、799ドルの新型「Surface Pro」を相次いでリリースした。

いずれも性能から考えれば通常のWindowsノートPCよりも割高な価格設定となっているが、AppleがMacBook Airをラインアップから外して高付加価値化した流れを見れば、これに対抗しうる領域に、しかも価格と性能の競争力がある状態で勝負を仕掛けようという目論見が感じとれる。