eSIMは期待はずれ
端末でもうひとつ注目しておきたいのは、ドコモが提供するタブレットの「dtab」だ。dtabはeSIMに対応した端末だからだ。eSIMとは、通信キャリアの選択をソフトウェア上で選択可能にする仕組みで、従来のようにSIMカードを抜き差しすることなく、ユーザーは好みのキャリアを自由に選択できるのがメリットだ。
ユーザーにはキャリア選択の自由度を高めるため、メリットは大きいが、ドコモにとっては契約者を簡単に失いかねない手段ともなる。思い切ったことをやってきたとも最初は思ったが、説明員に聞くと、eSIM本来の機能については制限がかかっており、キャリア選択はできないという。現状は、オンラインでdtabを購入したときの開通作業を遠隔から行える程度の機能に過ぎないようだ。
dジョブ周辺に注目
サービス系で注目したいのは今秋サービスが開始される「dジョブ」だ。どのメディアも注目していないが、その根本的な考えは大きなビジネスにもなりうるからだ。まずdジョブの概要について述べておこう。
dジョブは、アルバイト・派遣社員・正社員の求人情報から、データ入力、ライティングなどのクラウドソーシング、ウェブアンケートなどの副業的な「スマホワーク」までを網羅したプラットフォームだ。複数の求人サイトの仕事情報を集約掲載しているという。
提携求人サイトについては明らかにしていないが、ドコモの集客力を存分に生かすことが可能だ。また、スマホワークに対する報酬として、dポイントを活用するなどドコモのアセットを活用している。
興味深いのは、dジョブが生まれた発想についてだ。もともと、就職、転職などのライフステージに応じて、既存の企業のサービス、ドコモが提供する新たな価値を足し合わせ、プラットフォーム化したのだという。
人生における重要な局面、かつお金が動くところで考えると、結婚、住宅など別のキーワードも浮かんでくる。今後のビジネスの広がりが予測されるとともに、新たなプラットフォーマーの誕生という流れもありうるかもしれない。