連写性能が大きく向上

AF追従での連写最高速は6コマ/秒で、Lサイズ・ファイン画質のJPEGではカード容量いっぱいまで、RAWでも27枚まで連続で撮れる(いずれもUHS-I対応カード使用時)。EOS 8000Dは5コマ/秒でJPEGでは940枚まで連写できるが、RAWでは8枚しか撮れなかったので、大きく進化している。

動体撮影のテストはEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMの望遠端で行った。測距エリア選択モードは「45点自動選択AF」で、AIサーボAF(コンティニュアスAF)時は任意選択した1点から被写体を追尾する。ここでは中央下側の測距点を選択した状態で試した。記録画質はRAW+JPEG、歪曲収差補正はオンのままで撮影した。ウェブサイトに「歪曲収差補正を『する』に設定した時は、連続撮影速度が低下します」とあったが、実写ではスペックどおりの6コマ/秒で撮れていることが多かった。また、連続で撮れる枚数も22枚前後とまずまずの数字だった。

Mモード F5.6 1/500秒 ISO100 WB:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:オート EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM(焦点距離:135mmで撮影)

被写体の路面電車は、スピードがあまり速くないので、今の一眼レフのAFなら大外しするようなことはあまりないが、ピクセル等倍で見るとピントがアマいカットが出てきたり、連写スピードが遅くなったりするカメラもある。近づいてくるもの、遠ざかるものを混ぜて10回ほど撮った画像をピクセル等倍で見てのピントの合い具合と連写のスピードの落ち具合(歩留まりをよくするために連写スピードを落とすカメラもある)をチェックした。

おおざっぱな印象としては、ピクセル等倍で見てピントに問題がないと判断できる率が7割以上なら良好と言えるところを、EOS 9000Dは8割以上の好成績。連写スピードの低下もほとんど見られなかった。このクラスのユーザーが求める以上の性能を持っていると判断していいだろう。

オールクロス45点のAFセンサー

上位モデルのEOS 80Dと同じ全点クロスの45点測距AFを搭載したことも見どころのひとつだ。EOS 8000Dの19点測距AFに比べると、特に左右エリアが大きく広がっており、被写体を画面中央から左右どちらかに寄せてフレーミングしたいときにも被写体をとらえやすくなっている。

測距点の運用も、任意の1点でピント合わせを行なう「1点AF」、中央および左右エリア(各15点の測距点がある)のうち9点での自動選択AFとなる「ゾーンAF」、中央および左右エリアでの自動選択AFとなる「ラージゾーンAF」、全測距点で自動選択AFを行う「45点自動選択AF」から選択できる。

測距点や測距ゾーンの移動は、背面右手側のAFフレーム選択ボタンを押して十字キー操作となる。上位のEOS 80Dでは、サブ電子ダイヤルと同軸のマルチコントローラー(8方向キー)単独で操作できるオプションがあるので、このあたりが製品クラスの違いと言える。

また、AFの中央エリアと左右エリアの隙間はやや広めに感じられる。もちろん、ある程度大きな被写体であれば問題はないが、ゾーンAFやラージゾーンAFで、中央および左右エリアをまたいでのゾーン選択はできない。EOS 7D Mark IIなどのハイエンドモデルには、選択した測距点でピントが合わなかったときに、その周囲の4点ないし8点でカバーする「領域拡大AF」が搭載されているが、EOS 9000DやEOS 80Dにはその機能がない。

地面すれすれにカメラを構えて撮影。ライブビューだと画面の端に近い部分にもピントが合わせられるのが便利だ。バリアングル液晶モニターとデュアルピクセルCMOS AFのおかげで快適さが増した。Avモード 絞りF5 1/320秒 -0.3EV補正 ISO100 WB:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:オート EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM(焦点距離:69mmで撮影)