カメラ内レンズ光学補正を強化

画像処理エンジンの性能が上がったことで、EOS 9000Dのレンズ光学補正機能には、EOS 8000Dにはなかった「回折補正」が追加された。また、ライブビュー撮影時の画面に歪曲収差補正がリアルタイムで反映されるようになったのも新しい点だ。ちなみにこの機能は、EOS 5D Mark IVとEOS Kiss X9iにも搭載されている。

解像感のチェックはキットレンズのひとつである「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」の広角端で行った。レンズ光学補正は、初期設定では周辺光量補正と色収差補正、回折補正がオン、歪曲収差補正はオフになっているが、すべてオンにしている。

歪曲収差補正:オン

歪曲収差補正:オフ

Avモード F8 1/160秒 マイナス0.3EV補正 ISO100 WB:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:オート EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM(焦点距離:18mmで撮影)

EOS 9000Dはローパスフィルターありの仕様だが、ピクセル等倍で見たときも十分なシャープさがある。歪曲収差補正のオンとオフとで見比べると、四隅の解像は補正オフのほうがわずかに勝るが、目くじらを立てるほどの違いではないので、差し支えがないならオンで常用してもいいと思う。

EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMの場合、画面中心部は絞り開放でも良好な画質が得られるが、四隅はF8前後まで絞ったほうがいい印象。さらに絞ると少しずつ回折現象の影響が出はじめ、F13ぐらいからアマさが気になってくる。しかし、それも回折補正機能のおかげで、F16までなら実用的に不満のない画質となる。被写界深度を稼ぎたいときも比較的安心して絞り込めるだろう。

ダイナミックレンジを補う

強い逆光などのシーンで白飛びを軽減する機能としては、低コントラストやストロボの光量不足なども補ってくれる「オートライティングオプティマイザ」、中間よりも明るい側のダイナミックレンジを拡大する「高輝度側・階調優先」がある。さらに、フルオート系の「かんたん撮影ゾーン」には3枚合成の「HDR逆光補正」などもある。

次の写真は強い逆光で撮った建物で、マイナス3段補正しても空の大部分が白飛びするぐらいの状態だ。オートライティングオプティマイザと高輝度側・階調優先の両方をオフにしたもの、カメラの初期設定であるオートライティングオプティマイザ:標準、高輝度側・階調優先をオンにした3種類を比較してみた。いずれもマイナス1.7段補正で撮影したカットを掲載する。

オートライティングオプティマイザ:しない 高輝度側・階調優先:しない

高輝度側・階調優先:する

オートライティングオプティマイザ:標準

Avモード F8 -1.7EV補正 WB:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:オート EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM(焦点距離:18mmで撮影)

オートライティングオプティマイザを使ったカットは、画面右側の石造りの壁がややフラットに感じられるほどに補正が効いている。一方、画面左側の枝の残り具合では高輝度側・階調優先をオンにしたカットがいちばんいい。ただし、高輝度側・階調優先をオンにすると、ISO感度の設定範囲がISO200からとなる。また、オートライティングオプティマイザは意図的にアンダー露出で撮りたいときに自動補正が働いて暗く写ってくれないという特性もあるので、要所要所でうまい使い分けを考える必要がある。