Xperia XZsの最大の特徴と言えるのがカメラだ。センサーは従来通りコンパクトデジタルカメラクラスの1/2.3型Exmor RS for mobileを採用。これまで2,000万画素オーバーの高解像度センサーだったが、今回は有効画素数1,920万画素になり、画素ピッチは1.22μmで、従来の1.12μmから大型化した。これにより集光面積が向上し、画質への好影響が期待できる。
さらに今回のExmor RSセンサーは、新技術を投入したメモリ積層型CMOSセンサーを採用した。
通常、CMOSセンサーはレンズを通してセンサーに届いた光を上から1列ずつ順番に処理していく。しかし、処理データを転送する速度が規定されており、最初の列と最後の列で処理に時間差が生じてしまう。このため、一般的なCMOSセンサーでは高速で動く被写体が歪んで写ってしまう動体歪み(ローリングシャッター歪み)などの発生が避けられなかった。
この時間差を解消するために、ソニーモバイルではデータをいったんメモリ上に蓄積し、一気に処理する方式を採用。ローリングシャッター歪みの発生もある程度回避できるようになった。実際に試してみると、被写体の速度によっては完全に回避できていないようだが、大幅な改善が実現しているようだ。
これは今年2月のMobile World Congress 2017におけるソニーモバイルの説明。センサーに届いた光(画像)の転送速度が5Gbpsと規定されており、このボトルネックを解消するためにDRAMを積層した |
なお、大型センサー向けには「メモリ一体型CMOSセンサー」が使われているが、スマートフォン向けの小さいセンサーでも十分なメモリ量を確保できるように「メモリ積層型」という技術が新開発されたという。
今回のメモリ積層型Exmor RS for mobileに加え、画像処理エンジンのBIONZ for mobile、Gレンズの3つの組み合わせは、新たに「Motion Eyeカメラシステム」と名付けられた。
Gレンズも新規開発されたもので、焦点距離は35mm判換算25mm、F値はF2.0。従来、他社に比べても広角のレンズを採用している関係上、周辺画質が不利だったが、周辺解像を高めるため、カメラユニット全体の高さを上げ、周辺もよりクリアに描写できる設計にしたという。レンズ枚数自体は変わらないが、厚みや形状を変えるなどの工夫も入れた。その結果、レンズが出っ張ることになってしまったが、画質向上を優先したそうだ。
ほかにもA/Dコンバータを2段から4段に増やして高速化するとともにノイズも低減。BIONZ for mobileは暗所での黒の引き締めや白トビの低減といった絵作りの改良を施したという。