KDDI モバイル技術本部 シニアディレクターの松永彰氏は、技術の細かい部分を補足説明した。

デモで使用されたのは"28GHz"という非常に高い周波数をもつ電波。ちなみに、いまLTEで使用されている電波の周波数は、高いものでも3.6GHz程度である。この28GHzのメリットは広い帯域幅を使えること。これにより通信速度をグンと上げられるという。では将来、この周波数が主流になっていくのだろうか? 松永氏によれば、現在グローバルでも5Gの研究が進められているが、まだどの周波数を使うか決まっていないとのことだった。

ところで、いわゆる"プラチナバンド"と呼ばれる電波がある。800MHzのことで、建物を回り込んでいく特性がある。このためビルが林立する都内でも、800MHzなら余すところなく電波が届く。これに対して28GHzの電波は、建物の影になる場所には届きにくい。また、減衰(ロス)も起こりやすい。このため、使い方には工夫が必要になるようだ。松永氏は「周波数を組み合わせる、あるいは基地局を連携させる、いままでとは違うそんな展開になるのでは」と説明する。具体的には4Gでエリアをカバーしつつ、特定の使い方に対応するために5Gを打つ、といった見方をしていた。

今回は報道陣向けのデモ体験会だったが、今後は一般の消費者にも5Gの魅力を伝えるイベントなどを行いたいという。松永氏は「こんなことができるんだ、というワクワクを皆さんにも体験していただきたい。今後の検討課題にしている」と話していた。