1970年には、早川電機工業株式会社から、シャープ株式会社に社名を変更。ここでは、商標と社名を一致させるとともに、将来のエレクトロニクスの発展を考え、電機という名称も外したという。名実ともに、家電メーカーからエレクトロニクスメーカーへと転換を遂げる狙いがあったといえよう。
このように、歴史を振り返ってみると、旧本社エリアは、関東大震災ですべてを失った早川徳次氏が再起をかけて、2度目の創業に挑んだ場所である。そして、そこから世界に通用する製品とブランドを作り上げた。
シャープの戴社長は、「この場所に早川徳次記念館を作りたい」と語っているが、いまこの場所の大切さを一番理解しているのは、実は、戴社長なのかもしれない。
すでにシャープの本社は、大阪府堺市に移転している。シャープの大看板が旧本社から降ろされ、整地された様子は、シャープの関係者にとっては寂しくもあり、感慨深いものもあるだろうが、新たに始まった第3の創業に邁進することが、いまのシャープにとっては重要だ。早川氏もそう思っているに違いない。