高齢者の医療費自己負担分や高額療養費制度とは

高齢者が支払う医療費の自己負担分は、現役世代より軽く設定されています。70~74歳(平成26年4月以降70歳になる人から)の場合、自己負担は2割、75歳以上では1割です。一方、現役並みの所得がある場合は、3割の自己負担分を窓口で支払います。

また、医療費を軽減させる制度には、「高額療養費制度」があります。高額療養費制度とは、医療費が過度に高くなって家計負担を重くしないよう、医療機関や薬局で支払った医療費が1カ月の上限を超えた場合、その超えた額が支給される制度のことです。上限額は一定ではなく、年齢が70歳以上かどうかや、所得水準によって変わります。

69歳以下の場合、所得に応じて、1カ月の上限額(世帯ごと)は以下のように区分されています。

・住民税非課税者:3万5,400円
・~年収約370万円:5万7,600円
・年収約370~約770万円:8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%
・年収約770~約1,160万円:16万7,400円+(医療費-55万8,000円)×1%
・年収約1,160万円~:25万2,600円+(医療費-84万2,000円)×1%

それでは、70歳以上はどうでしょうか。70歳以上の高額療養費制度の上限額は、現役世代より手厚く、以下のように区分されています。また、世帯ごとの上限額だけでなく、外来(個人ごと)の区分も設定されています。

・住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など) 外来:8,000円 世帯:1万5,000円
・住民税非課税世帯 外来:8,000円 世帯:2万4,600円
・年収156万~約370万円 外来:1万2,000円 世帯:4万4,400円
・年収約370万円~ 外来:4万4,400円 世帯:8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%

ただし、平成29年8月より、70歳以上の高額療養費の上限額が一部変更されます。年収156~約370万円に当たる外来の上限額が、1万2,000円から1万4,000円(年間上限14万4,000円)、世帯ごとの上限額が4万4,400円から5万7,600円。また、年収約370万円以上に当たる人では、外来の上限額が4万4,400円から5万7,600円となります。

さらに、平成30年8月からは、年収156~約370万円に当たる人の場合、外来の上限額が1万8,000円(年間上限14万4,000円)に引き上げられ、70歳以上でも一定以上の収入がある場合には、現役世代と変わらない負担が求められることも決まっています。