復活を果たしたマツダの今後

マツダが長年の米フォードとの資本提携を脱し、1990年代の苦境から立ち直って、クルマを構成する諸要素すべてを刷新する「スカイアクティブ技術」と並行し、生産分野の「モノづくり革新」をスタートさせたのが2006年あたり。内燃機関の進化に向け、モデルベース開発力に独自の磨きをかけることにより、2012年から2015年にかけて現行の新世代商品群を市場に投入してきた。

マツダの新世代商品群

一方で、新デザインテーマ「魂動(こどう)」をマツダの日本車デザインブランドとして形成するなど、この間の流れはマツダ復活への道のりだった。

しかし、前期の円高は大幅減益の要因となり、為替変動の影響はいまだに大きいものがある。小飼雅道社長は、今期の為替レートを対ドル108円と想定し、グローバル販売を160万台に乗せて3期ぶりの増益を目指すプランを発表した。

着実なグローバル台数成長とブランド価値向上がカギ

一方で、今の中期経営計画の最終年度である2019年3月期の売上高営業利益率目標を「7%以上」から「5%以上」に下方修正している。グローバル販売を年間5万台ずつ増やす計画とするものの、為替の前提を1ドル=120円から108円に変更したことによるものだ。小飼社長は「着実な台数成長とマツダブランド価値向上」を今の中計のテーマに設定している。

その意味では、次の中期経営計画でマツダは真価を問われることになる。今秋の東京モーターショーでは、スカイアクティブの次世代ガソリンエンジン技術と魂動デザインを盛り込んだ“次世代VISIONモデル”が公表されるだろう。

電動車や自動運転車で、マツダは独自の方向性を示せるのか。包括業務提携を結んでいるトヨタ自動車との協力関係は深まるのか。似て非なるスバルとの違いは明確となるのか。このあたりを念頭に置きつつ、東京モーターショー以降のマツダの動きに注目したい。