販売で過去最高も目立つ減益幅
マツダの2017年3月期の決算は、グローバル販売台数が対前期比2%増の155万9000台と過去最高となったものの、売上高は3兆2144億円(前期比6%減)、営業利益は1257億円(同45%減)、純利益は938億円(30%減)の減収減益となった。
特に営業利益、純利益の大幅減益が目立つ。これはひとえに、為替の振れによる業績への影響度が高いことからくるものだ。マツダの輸出比率は日本の自動車メーカーの中でも突出しており、現状でも約8割となっている。
必然的に、前期は円高による為替差損が損益に大きく影響した。マツダの前期業績での為替レートは、USドルで108円(前々期は120円)、ユーロで119円(同133円)。ドルでは12円、ユーロでは14円の円高となった。
これにより、営業利益段階での為替差損分は、USドル185億円、ユーロ261億円、英ポンド198億円、豪ドル189億円、カナダドル141億円、その他53億円の計1027億円と、各国通貨に対する円高分が営業利益の減益分1011億円を上回るほど。マツダにとって、前期の円高は大きな痛手となったのだ。
もちろん、マツダはこの間、2014年にメキシコ工場を稼働させ、2015年にはタイにエンジン工場を新設して車両、エンジン、トランスミッションの一貫生産体制を確立するなど、海外現地生産体制の拡充を進めてきてもいる。
中国・アセアンに活路
しかし、マツダは北米以外も欧州などで販売基盤があり、なかなか高い輸出比率から抜けきれない状況にある。マツダはこのため、中国とアセアン地域の強化に乗り出している。
中国とタイに生産拠点があり、中国では2016年6月から「CX-4」を現地生産に切り替えてきている。また、2016年秋に「ASEAN事業室」を新設し、今期は現地生産を中心にタイでの販売を19%増やす計画だ。また、マレーシア、ベトナムなどの販売網を拡大し、中期的にはアセアンの販売を5割増とする計画を立てている。
こうして、北米依存の収益構造、為替感応度の課題を段階的にクリアーしていく構えだ。