連休前に発表となったマツダの決算。今期連結業績見通しにおける純利益は、3期ぶりの増益となる1000億円(前期比7%増)を予想した。販売はクロスオーバーSUV(多目的スポーツ車)の主力である新型「CX-5」のグローバル展開を中心に、世界販売で自身の記録更新となる160万台を狙う。

国内販売が好調な「CX-5」。グローバル展開の成否は

CXシリーズを拡充

マツダは現在、中期経営計画「構造改革ステージ2」を進める中で、同社のセールスポイントとなった「スカイアクティブ技術(SKYACTIV TECHNOGY)」の次世代商品群の開発に取り組んでいる。内燃機関の技術進化と合わせて、グローバルでの環境規制への対応や安全なクルマ社会の実現に向け、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)といったクルマの電動化や、安全技術の開発(自動運転支援)を2019年~2020年に加速させる計画だ。

しかし、マツダのスカイアクティブ次世代商品群が投入されるのは来期終盤以降であり、当面は乗用車をベースに乗り心地を重視した、マツダのクロスオーバーSUVブランド「CX」を冠した車種の拡大で攻勢をかける。

この流れでマツダは、新型CX-5をグローバル展開し、2017年後半には北米でクリーンディーゼルモデルを投入する。また、日本ではディーゼル専用車だった「CX-3」にガソリンモデルを追加。さらに3列シートの新型「CX-8」をまず日本から投入して、ミニバンからの転換を図ることにしている。

「CX-8」は内装の画像しか公開されていない

世界的に人気のSUV、販売比率を向上へ

世界の乗用車市場の潮流は、このSUVにある。米国市場でも最近の人気は大型SUVとなっている。マツダとしてもグローバル販売の6割を稼ぐ米国で新型CX-5を今期初めから投入しているし、昨年から販売している大型SUV「CX-9」も、今期は通年で貢献することになる。

日本車メーカーとしては中堅クラスで、マツダのライバル的な存在であるスバルは、北米依存がマツダ以上に高いがSUVで先行しており、スバル車のグローバル販売に占めるSUV比率は70%を超える。マツダは前期で39%だったSUV比率を今期は45%程度に引き上げる方針で、スバルを追いかけることになる。

クロスオーバーSUVの車種を拡充するマツダ。車種を絞ったスバルとは異なる方向でもあり、今後の動向が注目される。