ホームボタンがタッチセンサーになったことで背面に移動したのが指紋センサーだ。背面上部の中央にカメラがあり、その隣に指紋センサーが配置された。ここはもともと心拍センサーがあった場所で、ユーザーにとっては「使い慣れた位置」とスンミン氏。従来よりも本体が長細くなって大型化したので、位置的には指が届きづらいが、新たに搭載された虹彩センサーを併用することでカバーできるという認識だ。
背面のラウンドシェイプは、平面となる部分を最小限に抑え、徐々に両サイドに落ちていくことで、前述の通りグリップ感の向上を図り、背面ガラスと側面のメタルの境界線でも手に引っかからないように配慮した。「100台以上のプロトタイプを製作し、目を閉じた状態で手になじむかどうかをテストして選んだ」とスンミン氏は述懐する。
通常はディスプレイ上部にあるインカメラや各種センサーは、必要なものではあっても画面表示に対しては邪魔者となる。画面を使っているときには「認知する必要がない部分なので静かにした」とユンジン氏は表現。ブラックベゼルに加えて反射防止のコーティングを施したことで、ベゼルの中にレンズやセンサーが沈み込み、「静か」な外観を目指せた。
背面カラーは、グローバルでは5色を用意。グローバルのデザインセンターと協力してカラートレンドを分析しながら採用したそうで、一体感を重視したブラック、落ち着いたグレー、これまでのブルーをもう一度分析して作り上げたコーラルブルー、安心できるグレー、そしてパープルを加えたオーキッドグレーの5色で、特にオーキッドグレーは「落ち着いて神秘的なカラーで、Samsungのアイデンティティカラーになるのでは」とバン・ヘジン氏。
Galaxy S8は、ガラリとデザインを変えることで心機一転というイメージを示すとともに、ディスプレイやホームボタンなどで新しいチャレンジに取り組んでいる。Note 7で問題となったバッテリーに関しても、多くのコストと手間をかけて検査態勢を強化するなど対策を進めており、同様の問題は発生しないという自信を見せる。Samsung復活ののろしとして、Galaxy S8は大きな役割を担っているのだ。