ディスプレイサイズ最大化にともなう大きな変化が、ホームボタンの変更だろう。Galaxyの象徴とも言える物理キーによるホームボタンが、S8ではディスプレイ下部のタッチセンサーとなった。
ディスプレイの最大化によってホームボタンのスペースが取れなかったのためこの仕様になった模様だが、社内外から、今回の変更は「チャレンジ」という声があり、「ユーザーにどう受け止められるか悩んだ」とスンミン氏は明かす。タッチセンサーながら感圧センサーにすることで、物理キーと同じ体験ができるようにしたと説明する。
実際に触れてみると、バイブレーションによってボタンを押しているような感覚はあり、iPhone 7などと似たような挙動をする。ただ、物理キーとは異なるのは確かで、デザイン面も含めて、ユーザーの反応は気にかかるところだ。
S8はエッジディスプレイを採用したことで、本体の横幅一杯までがディスプレイとなっている。その結果、正面から見ると文字通り「フレームレス」であり、ホームボタンの変更もともなって上下左右ギリギリまでディスプレイを広げられ、ボディに対する画面比率を最大限まで高めている。同社はこれを「Infinity Display」と呼んでいる。
このInfinity Displayは、一般的なスマートフォンのようにディスプレイの四隅が角張っておらず、曲線を描いている。これまでの、スマートフォンの画面と言えば四角いという固定観念を覆すデザインだが、この曲線が「見た目と違って難しい技術」だと語るのは、製品デザイン1グループのシニアデザイナーであるキム・ユンジン氏。
「ハードウェア的にはディスプレイを削るような作業を、ソフトウェア的にはコーナーラウンドがより滑らかに見えるような処理をしている」とユンジン氏。真四角に比べて曲線にすると、1つの角につき111pxが表示されない領域になるが、そうなったとしても、調和の取れたディスプレイデザインを目指したとのことである。
こうしてできあがったGalaxy S8のデザインだが、デザイン性に関して個人的には向上していると思う。細長いボディに全面ディスプレイと言いたくなるほど全体をディスプレイが占めているが、イメージは未来的でスマート。ほかの16:9の端末がやぼったく見えるほどだ。
「電話の受話器」と考えれば、スマートフォンが再び細長いデザインへと回帰していると言えなくもないが、新しい進化を感じさせるデザインに仕上がっている。