防虫剤は上に置いて!

――「ムシューダ」はバリエーションがいろいろありますが、正しい使い方ってあるんですかね
ありますよ! ベタな話で言うと、引き出し用の防虫剤を服の下に入れたり、服と服の間に挟んだりする間違った使い方が多いですね。基本的には、一番上に置いていただくのがベストです。防虫成分は空気より重く、上から下に薬剤が広がるからです。

――僕、服の間に挟んで使ってました
いやー、割と皆さんそうなんです。「おわり」マークが出る上に穴が空いているので「上から防虫成分が出るんだろうな」と思われるのかもしれません。

「ムシューダ 引き出し・衣装ケース用」。つい下の方に入れたくなってしまうが、一番上に置くのが正解

「気持ちはわかるんですけどねぇ~」

ただなかなか本体に注意書きを印刷するのは難しくて……。パッケージには書いてあるんですよ。ここに書いてあります。書いてあるんですけど。まぁ慣れていると、改めて読まないですよね。

悔しそうに「ここに書いてある」と連呼する高野さん

あとは、クローゼットに「洋服ダンス用」のムシューダをかけているとか。

クローゼットに「洋服ダンス用」はNG!

――ダメなんですか?
そうなっちゃいますよね……。まず、「洋服ダンス用」で想定しているサイズって、壁に備えつけの標準的なクローゼットより小さいんですよ。「クローゼット用」の標準容積は2,400L(奥行60cm×幅180cm×高さ220cm)なんですが、「洋服ダンス用」は500Lまでの空間にしか適用できないんです。なので、効果が十分に発揮できない。これも、ここに書いてあるのですが……。

「ここに書いてある」

――適用容積が一番大きい商品は「ウォークインクローゼット用」ですね
ウォークインクローゼットは、ムシューダでいうと2畳の広さで計算しているんですけど、容積にすると7,800Lになります。「クローゼット用」は2,400Lなので全然違いますよね。このようにさまざまな用途があるので、感覚で選ばずにパッケージを一度確認してください。

――適正な使用量にしないと効き目が薄くなってしまう
そうです。それから、個数の間違いもありがちなので注意してください。クローゼットに1個だけ掛けるとか。……でもまぁそれが普通の感覚だとは思うんですよ。

1個だけ掛けるのもNG!?

――え? 基本1つのクローゼットに1個ですよね?
そうなっちゃいますよね……。実は「ムシューダ クローゼット用」って1箱に3個入ってるんですよ。これ1箱買えば3回使えるというわけじゃなくてですね、クローゼット用なら「3個で標準クローゼット1つ分」という意味なんです。まぁそれもここに書いてあるんですけど……

「ここに書いてあるんですけど」

クローゼットもご家庭によって広さがまちまちなので、使用量を1個にしてしまうと使い勝手が悪いんですよね。それで3個にしているんですよ。

――全然知らなかった
パッケージに書いてあるんですけどね……。なかなかしっかり読まないですよねぇ……。我々としては、今後もっと分かりやすくお客様にお伝えできるようにしなければならないと考えています。

「ムシューダ臭い」と言わないで

――最後に、何か伝えたい事があればお願いします
いっぱいあるんですけど、若い人ほど防虫剤を使わないっていう課題はあるんですよね。生き死にに関係するような物じゃないので当然だとは思うんですけど……。ただ、虫食い自体は非常に身近なものなので、もっと使ってほしいですね。

それから、若い方は「防虫剤」というと古臭いイメージがあるようで、「ムシューダ」もナフタリンのような薬剤のニオイがあるタイプの防虫剤と混同されてしまっているんですよ。ツイッターでも「あーなんか電車の中がムシューダ臭い」みたいな……。「ムシューダ臭い」って、ムシューダにはニオイがないんですけどね。

いや、すごくありがたいんですよ。防虫剤の代名詞みたいになっているわけなので。ただ、「ムシューダ」にニオイがあるイメージを持たれてしまうとね、悲しいです。無臭タイプのものもいい香りのものもあるので。

「ムシューダ臭い」で検索するとこの通り

――まずは若い人に「使ってみて」と。そういうことですかね
そうですね。防虫剤は"何事もない"ことが効果の証なので、効果の実感がわきにくいという面は確かにあります。

ただ、先程もお話したとおり、衣類害虫は高級な衣類を好んで食べます。とっておきの服を長く楽しむために、ファッションを楽しんでいる若い方にこそ使っていただきたいですね。

――この記事がそのきっかけになるように祈っています。ありがとうございました

高野さんの思いが届きますように