防虫剤は具体的に何をしているのか

――また基本的なことを聞くのですが、防虫剤って殺虫剤とは違うんですよね?
成分自体は、殺虫剤にもよく使われるものを配合しています。直接的に虫を殺すわけではないのが殺虫剤と違うところですね。瞬間的な効果よりは、長い間効き続けて衣類を守ることが大切なので。

――なるほど。虫にはどのように効くのでしょうか
他社製品のことは申し上げられませんが、当社が販売している「ムシューダ」ですと、防虫成分が広がり幼虫の動きが止まります。活動が鈍くなり、繊維を食べられず最終的には餓死してしまう。難しい言い方をすると「食欲減退効果」ですね。

あとは、「成虫を寄せ付けない効果」「成虫が産んだ卵を孵化させない効果」もあります。

――特に防虫剤を使うべき時期はありますか?
有効期間も1年ありますし、1年中使ったほうがいいかと思います。先程も申し上げたように、衣類害虫は気温15度~25度・湿度60%以上で活動が活発になります。春から秋にかけて……つまり1年のほとんどですね(笑)。

人間が快適な環境は衣類害虫にとっても快適なのだ(画像提供: エステー)

冬も暖房が効いている住まいが多いと思いますし、虫食いのリスクは無視できません。

――虫だけに無視できないと
そういうことではないです。

よく使う収納ほど危険!

――「ムシューダ」に限らず防虫剤って、着ない服を保管しておく衣装ケースなどに使うシーンが多いイメージがあるのですが、普段使いのクローゼットでも使ったほうがいいのでしょうか
その印象も「虫食い」の誤ったイメージからきていると思うんですよね。たぶん、食べ物みたいに「虫が湧く」というイメージをお持ちなのではないでしょうか。暗くてジメジメしている場所に置いておくと、いつの間にか虫がわらわらと……という。

――あ……。たしかにそう思っていました。でも実際は違うんですよね
そうですね。頻繁に開け閉めをするクローゼットは換気が行き届いているので、虫食いが起こらないように感じるかもしれません。ですがそれは気のせいです。虫食いは、外から成虫が入ってきて服に卵を産み付けることから始まります。

よく開け閉めをする収納こそ、成虫が侵入するリスクが高いので、きちんと防虫剤を使った方がいいですね。

――なるほど。帰ったらちゃんとセットします……

衣替えの前にクリーニングを

――未だに衣替えができていない人にアドバイスはありますか? 僕のことなんですが
クリーニング屋さんに聞くと、冬服を次のシーズンまで放置してしまって、着る直前にクリーニングに出す方が多いらしいですね。特に若い人ほど。

ですが、これは虫食いだけでなくいろいろなリスクを高めてしまうので、ほんのちょっとだけ着た服であっても、クリーニングに出してからしまった方がいいです。

――身に覚えがありすぎてつらい
冬物の服って、汚れがあまり目立たないものが多いんですよね。でも、皮脂の汚れや食べこぼしなど、気づかないだけでついている可能性はあります。これを放っておくと、そこから変色してしまったりカビが生えてしまったり、皮脂汚れが酸化すると黄ばみに変化したり……。汚れや食べ汚しは衣類害虫の栄養源にもなってしまうので、虫食いのリスクも高まります。

――きちんと清潔にしてから衣替えに取り掛かるべきということですね。
そういうことです。冬のアイテムだと、忘れがちなマフラーなんか特に注意してほしいです。直接肌に接していますからね。思ったよりも汚れているかと……。

それから、クリーニングから返ってきた衣類についてですが、ビニールのカバーは外していただくのがベストですね。あれ、クリーニング屋さんによると、お店から自宅まで汚れがつかないようにするカバーらしいんです。

クリーニングカバーは外して保管しよう(画像提供: エステー)

カバーの内部で湿気がこもりやすいので、帰ったらカバーを外して一旦陰干ししてからしまうのがベストですね。コートなど、ホコリがつきやすいものの場合は防虫カバーを使っていただくのが安全安心かなと。「ムシューダ まとめて防虫カバー」とか……。

――検討します

「ムシューダ まとめて防虫カバー」は通気性もいいしカビも防げるそうだ(画像提供: エステー)


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