伊藤氏によると、スマートプロダクトはこれまで、スペイン・バルセロナで毎年実施されている携帯電話の見本市イベント「Mobile World Congress」で製品のコンセプトを発表しており、その後得たフィードバックを取り入れながら、製品化に向けた改良を進めるというプロセスをとっているとのこと。既にいくつかのコンセプトモデルが発表されているが、その中からXperia Earに続いて製品化を実現できたのが、Xperia Touchになる。
実はXperia Touchは、コンセプトモデルの時点では「Xperia Projector」と呼ばれていた。Xperia Touchに改名した理由について、伊藤氏は「家族」を挙げている。壁や床などにスクリーンを投影し、それを家族みんなでタッチ操作しながらを楽しむことで、新しい家族同士のタッチポイントを作り出すことを目指して開発されたことから、製品化に当たって「Touch」という名前が付けられたのだそうだ。
まずは体験の場の創出に注力
コンパニオンプロダクト営業部 マーケティングマネージャーの黒川直通氏は、さまざまな調査資料から「家族がリビングで多くの時間を過ごしている」と説明。そこでXperia Touchではリビングでの快適なコミュニケーションを実現するべく、ソニーの技術を活用して「デジタルとフィジカルの境界線をなくすことを目指した」と話している。
とはいえ、Xperia Touchは15万円近くする製品であるため、一般家庭が手軽に購入できるとは言い難い。それゆえ伊藤氏は、「エンドユーザーに触ってもらえるタッチポイントを大きく展開し、そのフィードバックを得てさらなる市場開拓を進めたい」とも話している。
実際ソニーモバイルでは、全国5箇所のソニーストア直営店などにXperia Touchを展示し、実際に体験できる環境を整えるだけでなく、法人向けの導入も進めている。
既にメルセデス・ベンツ日本やホテルオークラ福岡、ビームスなどが4月22日以降順次、Xperia Touchを活用したサービスを提供するとしており、そうした企業の取り組みを通じ、B2B2Cの形で消費者にXperia Touchに触れる機会を作り出していく狙いがあるようだ。