音楽でお金を稼ぐことに執着しない
Q.次なるステージ、今後目指していきたいところは?
YOSHIKI氏: 失敗という言葉って、失敗と自分で認めるまで失敗じゃないと思うんです。マディソン・スクエア・ガーデンやカーネギー・ホールも、まだ1回しかやってないので、今後もやっていきたいです。まだまだアメリカの街中で歩いていても、気づかれないので。「We Are!」と言ったら「X!」って(手を交差するポーズを)やってもらえるくらいに(笑)。アメリカやロシアなどの海外アーティストともコラボレーションしていますが、音楽を通じて国際関係も協力できればいいなと思っています。
三木谷社長: CDが売れなくなってきて、アーティストも、もっと経営者的な感覚が必要になってきていますよね。アーティストが生き残るには、自分自身の持っている資産をどのように影響力を出していくかが大事になってきている。その点でいうと、ある意味ベンチャー起業家ですよね。YOSHIKIさんは。
YOSHIKI氏: 音楽家になろうと決めたときに、僕はまず「お金を稼ごう」とは思わず、「とりあえず僕は音楽家になりたい」と思いました。母親から「どうやって生計を立てていくの?」と聞かれたときに、どうでもいいと思ってしまった。お金に執着していたなら他の職業を選んでいると思うんですよね。
ここ60~70年は音楽著作権ビジネスが成り立っていますが、200年ほど前のモーツァルトなどのクラシック音楽はスポンサーありきのビジネスでした。また、100年後は全然違うかもしれないですし、「音楽をやって、お金を稼ぐべきなのか」と今この時代だからこそ考えたいですよね。音楽が配信されるようになって、CDを買う人が減ってきていますが、CDに特典などをつけて売らなくても、配信された音楽を聴いてコンサートに来てくれる人もいるかもしれません。
僕は音楽でお金を稼ぐことに執着しないことが一番だと思うんです。音楽は商品をつくっている感覚ではない。芸術をつくっているんです。100万円、1億円を稼ぐということではなく、100年後、200年後も聴かれる芸術をつくらなければならない。アーティストは、そっちの方にシフトしていくべきだと思います。
三木谷社長: インターネットが出てきて、音楽ビジネスのやり方が変わってきていることはどう思いますか。
YOSHIKI氏: 僕は時代の変わり目というのは、チャンスだと思っています。クラウドファンディングやAIやIoTなど。言ってしまえば、楽曲制作もAIでプログラミングすれば、ヒット曲のパターンをつくれることも有り得るかもしれない。僕らがAIに勝つには、計算不可能なものをつくることが求められると思います。