プラットフォームを提供する新たなビジネス
GLMはEVの完成車を開発・生産するほか、EVのプラットフォームを他の企業に提供するというビジネスを育てようと目論んでいる。プラットフォームとはフレーム、シャシー、ステアリング、サスペンションなどが載る「車台」と、モーター、バッテリー、車両制御ユニットからなる「パワートレイン」を合わせたもの。これを自動車業界に参入したい新興企業などに売り込むというのがGLMのもう1つのビジネスモデルだ。
小間社長はGLM G4を「テクノロジーショーケース」と紹介し、このクルマの随所に日本の高い技術力を活用していることをアピールした。先進的な技術で、すでに安全性の確認も終わっているが、量産に結びついていないため、まだコストダウンが進んでいないもの。それをクルマづくりに取り入れて、日本の技術を世界に紹介する存在として作っていく。これがGLMが目指す姿だ。
GLMのクルマを見て、その技術が欲しいと感じた企業にはプラットフォームを提供する。プラットフォームといえば色んな部品の集合体を想像するが、GLMは技術のばら売りにも対応していく構え。例えばモーター周りだけに関心がある顧客には、モーター周りの共同開発で対応するといった具合だ。
GLMのプラットフォームを使っても、結局のところ、スポーツカーとスーパーカーしか作れないのでは、小型EVに挑戦したい企業などには訴求できない。その辺りを同社広報に確認したところ、GLMのプラットフォームではSUVなど、さまざまな車種に対応可能だという。EV生産に挑戦してみたいと考えている異業種の企業が、まずはGLMに相談するというケースも出てくるかもしれない。
自動車販売とプラットフォーム事業が両輪に
プラットフォーム事業の展望を聞かれた小間社長は、「新しく自動車を作りたいという日本以外の自動車メーカーがいて、交渉している」と明かした。先方は工場を持った大手企業で、GLMのプラットフォームを大量生産のクルマに投入する形で検討を進めているという。中国を中心にEVの新規メーカーが立ち上がってきている状況もあり、小間社長は「来年か再来年には」何らかの発表ができるかもしれないとの見通しを示していた。
GLM G4が目論み通り1000台売れた場合、売上高は400億円となる。しかし、GLMのプラットフォームを採用するEVが増えていけば、そちらの事業規模は当然ながら拡大してゆき、いずれは完成車の売上高を超える可能性がある。伸びしろを考えると、大きいのは明らかにプラットフォーム事業の方だ。プラットフォームの品質を訴求するため、GLMはいいクルマを作り続けていく必要があるものの、両輪の関係にある2つの事業が噛み合えば、同社のビジネスは大きく育っていくかもしれない。