実はライバルがいないEVスーパーカー市場
新車発表会に登場したGLM社長の小間氏によると、EVスーパーカーのマーケットは競合が少なく、高価格のクルマを小規模生産で投入しても収益を上げられる可能性があるという。
「フェラーリ、ランボルギーニ、マセラティのEVはないし、5年後を考えてみても、おそらく出てくるのはポルシェくらい」というのが小間社長の見立て。GLMでは「ぽっかりと空いた」(小間社長)市場に商品を投入することで、EV界のフェラーリというポジションを確立する意気込みだ。
もちろん、大手自動車メーカーがこぞってクルマの電動化を進める昨今の情勢もGLMの追い風となる。「部品1つとっても、今までは探すのが大変だった」と小間社長も話していたが、今ではプレイヤーが増えて、例えばバッテリーのコストダウンが進むなど、EVは生産しやすくなっているという。
自動車メーカーらしくない協業体制
GLMのクルマの作り方を見ておくと、同社はコンセプトや性能、仕様、デザイン設計といった企画開発と基礎技術・安全面などの技術開発に重点を置き、部品はメーカーから調達するかメーカーと共同開発する。協力会社は国内外170社に及ぶという。系列会社を垂直統合して囲い込む大手自動車メーカーと比べると特色ある体制だ。
クルマの生産工場も外部で探す「ファブレス」が基本。世界的に工場の生産ラインは「余っている」(小間社長)ので、GLMとしてはクルマの量産に入るのは難しくないし、将来的に生産能力を上げる余地も残っているという。
フェラーリを目指すEVベンチャーが日本で誕生したのは夢のある話だが、どこまで実現するかは現時点で未知数といわざるを得ない。むしろ、ここで注目したいのは、EVの完成車メーカーであるGLMが持つ、もう1つのビジネスモデルだ。それは、EVのプラットフォーム事業という商売である。