気象予測サービスの第一弾として、航空業界、電力業界、メディア業界などに特化したデータ分析と活用ソリューションをまとめた「The Weather Companyデータ・パッケージ」の提供が開始され、分析結果を踏まえて顧客に対するコンサルティングも実施される。

また、それ以外の顧客に対しては、要件に応じて気象予測データの活用を支援し、IBMクラウドを利用したSaaS型のソリューション構築サービスを提供するという。ユーザーが求めているのはレアなデータではなく使いやすい形に分析・整形されたものであり、それを提供する上でワトソン事業部が統括するというのは当然というわけだ。

気象データだけではなく、それを生かしたコンサルティングまでを含んだサービスがIBMの武器となる。そのためのインターフェースがWatsonになるわけだ

米IBMのジニ・ロメッティーCEOは天候予測事業の発表に際し、「データは21世紀の新たな天然資源である」というメッセージを送っていたが、まさにIBMはWatsonを使い、データの収集から精製、そしてその正しい使い方の指南までを一手に担う、21世紀型の資源メジャーの座を狙っているということなのだろう。

今回は気象予測という分野だったが、これだけでも今後、世界中で金融や医療、農業、情報技術など各分野において非常に大きな(一説には数十兆円規模の)市場価値があるとみられている。IBMはここで十分に経験値を蓄え、次なる鉱脈の攻略へと発展させていくことになるだろう。今後も思わぬ分野での大規模な買収やデータ解析サービスへの参入といった発表が続くことになりそうだ。

IBMのデータ解析サービスは、ビッグデータという巨大な手付かずの鉱脈を、AIという強力な掘削機で掘り進んでいくイメージだ