こうした本体側の新機能に加えて、新たに登場したのが「Bixby」だ。GoogleアシスタントやSiri、Cortanaに近いエージェント機能であり、インテリジェントなインタフェースとして動作する。今回紹介されたのは大きく4つの機能で、「Talk」「See」「Recommend」「Remind」となっている。
Talkは、いわゆる音声エージェント機能。文脈を理解することで、地図アプリでレストランを検索した上で、「これをキャプチャーしてシンディに送って」と話しかけると、その情報をメッセージとして送信してくれる。「これ」を理解するとともに、複数アプリにまたがった機能を提供できるというのがポイントだ。
Seeとしては、画像解析機能を備えており、カメラに写った被写体を分析し、Amazonで商品を検索したり、Google翻訳で翻訳したり、Foursquare経由でショップなどを検索したりと、さまざまな画像検索機能を提供する。
Recommendは、Google Nowに近い機能だ。ユーザーの普段の利用や端末の情報などからさまざまな情報を提供する。Reminderも同様に、ユーザーの利用状況に応じてリマインダーなどの情報を提示する。
これに加えて、IoTとの連携機能も強化。Samsung Connectアプリを利用することで家庭内のIoTデバイスと接続し、複数のデバイスも一度に確認したり設定したりできるようになる。例えば同社製の冷蔵庫がリモートアクセスによって外出先から中身を確認することができるようになる、といった具合だ。同社も認めるとおり、対応言語の少なさを始め、まだ機能としても未成熟だし、サービスもそれほど多くはない。今後の拡大と機能改善が重要になるだろう。
Bixbyはどこまで市場に食い込めるか
SiriやGoogleアシスタント、そしてAmazonのAlexaなど、音声エージェントは最近のモバイル・IoT製品のトレンドである。これにSamsungも参入していくことが、今回の最大のポイントだ。
Galaxyではなく、Bixbyという新しい名称を作ったのは、Galaxyにとどまらない、同社の製品で横断的に提供される機能という意味づけを持たせたのかもしれない。逆に言えばなじみがない言葉であり、市場に受け入れられるかは未知数とも言える。
先行する各社とは異なり、Samsungは家電メーカーとしての側面もあるのが大きな違いだろう。Amazonと同様に、スマートフォン用のOSを持たないプラットフォーマーとして、同社の電化製品を中心に、家庭内の環境を連携させていくのが狙いとみられる。API公開によるオープンな姿勢となるかは現時点で明らかではないが、米国で一気に広まっているAlexa、そしてSiriやGoogleアシスタントなどに加え、Samsungの参入でエージェント機能はさらに競争が激化するだろう。Galaxy S8がBixby拡大の起爆剤となりうるかどうか。今後のSamsungの戦略に注目したい。