パイオニアからハイレゾ対応の新しいポータブルオーディオプレーヤー「private」こと「XDP-30R」が発売される。ポイントは、同時期にパイオニアから発売されるイヤホン「SE-CH5BL」と合わせて5万円以内という手頃な価格で、高音質の「バランス出力」に対応した点に注目だ。今回は、バランス接続によるメリットも体験しながら「private」をレビューしよう。

パイオニアのハイレゾプレーヤー、private。片手に収まるサイズ感にシンプルな操作性を実現

背面はアンテナの感度を確保するため樹脂製のパネルを組み合わせている。2色展開で今回はシルバーを扱うが、きょう体にホワイトを組み合わせて柔らかな印象に

そもそものところ、今どきはスマホでも音楽を聴けるのに、別途プレーヤーを持つ意味はどこにあるのだろうか。最初にポータブルプレーヤーのメリットを整理しておこう。

まず、専用プレーヤーなら電話の着信があってもリスニングを邪魔されることがない。内蔵バッテリーやストレージの容量も音楽再生のためだけに使えるので、たくさんの音楽ファイルを持ち出しやすい。そしてなにより、アンプやDACなど音楽再生の質を高めるパーツを搭載しているため、音質的な底力が違う。

ここに紹介するprivateは、高音質の「バランス出力」に対応。バランス出力には大きなアドバンテージがある。

スマホが多く採用する「アンバランス出力」と比べて、「バランス出力」はヘッドホン・イヤホンを駆動する仕組みそのものが異なる。音楽信号をプレーヤーの内蔵アンプからヘッドホンのドライバーに伝えるには「 (プラス/ホット)」と「- (マイナス/グラウンド)」という2つの信号が必要になるが、アンバランス出力の場合は、左右で1台ずつのアンプからプラス/ホット側の信号を送り、マイナス/グラウンド側の信号は左右が共通化されている。

トップに2.5mm/4極のバランス出力端子と3.5mm/3極のアンバランス出力端子を搭載。バランス出力側には「bal」と刻印

一方、バランス出力の場合は左右チャンネルに2台ずつ、合計4台のアンプを使うため、ヘッドホンやイヤホンのドライバーを余裕をもって動かすことができる。また左右チャンネルの電流が干渉しないので、ステレオの分離感もますます明瞭になる。

プレーヤー側は、バランス出力に対応するための回路やパーツが追加されることになるため、コストアップにつながる課題をクリアしなければならない。privateは、推定価格が39,800円前後とハイレゾプレーヤーとしてはエントリークラスにあたる価格帯でこれを実現したのだから、十分注目に値すると言えるだろう。

だが、音が良くなるだけでは、スマホに加えてもう1台持ち歩く動機にはなりにくい。次のページでは、privateの特徴的な機能について紹介する。