プレイベントの後は新製品の発表会が行われた。こちらはバッファローのおもいでばこプロモーション企画担当・竹内優氏と、製品企画担当 おもいでばこ係長・根本将幸氏が登壇。2人は「今までで一番オススメできるおもいでばこになった」と、最新モデル「PD-1000S」シリーズに掛ける熱い思いを語った。
おもいでばこは「死蔵されている写真を再び見る」をコンセプトに、2011年11月に第1世代機が発売された。当初はシニアなどのノンPCユーザーをメインユーザーに想定していたが、スマホ世代のパパ・ママユーザーにも口コミで広まり、2015年3月にはスマートフォンからの取り込み機能を強化してフルモデルチェンジ。複数の子育て関連雑誌がその年に話題になった「子育てにまつわるトレンド」を表彰する、ペアレンティングアワード(第8回)も受賞した。
しかし、だ。一見、順風満帆に見えるものの、その先の展開については大いに悩んだという。
というのも、2015年前後にはスマートフォンで撮影した写真を保存するソリューションが増え、クラウドを利用した写真管理サービスや、おもいでばこと共通点のあるハードウェアが登場。ビジネスとして続ける上で、それらとの差別化を図り、ユーザーが「おもいでばこを選ぶ理由」を考えねばならず、「一体、おもいでばこって何なのだろう」とアイデンティティを問う日々が続いたそうだ。
思い出を分かち合える"道具"へ
思い悩む中、次のステップに進むヒントは、ユーザーの声にあったという。
あるブロガーが、おもいでばこを使い始めたことで「自分だけしか写真を楽しんでいなかったことに気付いた」と語っていたのだ。そのブロガーは、写真係の父親として積極的に撮影し、写真もきちんと整理していた。それでも、おもいでばこを導入したことで、妻も子供も写真を全然見ていなかったこと、コミュニケーションのない「写真を上手にしまうだけのアルバム」は撮影者の自己満足にしかなっていないと悟ったと述べていた。
この声に接したことで、根本氏は、おもいでばこが家族のコミュニケーションの課題を埋められると確信する。
「その写真や動画は誰のためか?」と考えたときに、もし自分以外の誰かが思い浮かぶのなら、おもいでばこのできることが、そこにあるということ。パソコンやスマートフォンに詳しいかどうかなど関係なく、立ち返る場所は「デジタルフォト・アルバム」の本来の役目、撮る人と写る人が対等な関係で思い出を分かち合い、記憶を通じ合える道具になることであり、「暮らしに写真があるといいよ」と伝えることだ。
そう考えた開発陣は、デジタルカメラの周辺機器という位置付けから、スマートフォンの周辺機器へと位置付けを変えるつもりで、次世代機の開発に邁進した。