映画、音楽、自動車を結びつける共通点

カンファレンスではマツダデザインアメリカでエクステリアのデザインマネージャーを務めるイーサン・ソン(Ethan Song)氏がプレゼンを実施。英語で表せばソウル・オブ・モーションとなるマツダのデザイン・コンセプト「魂動」について、ソン氏はクラフトマンシップが基本にあり、人間を中心に据えたものづくりの結晶であると説明していた。

ソン氏に続いてはマツダデザインアメリカのモデラーが登場し、クレイを削り始めた。フェンダー部分にエッジが現れ、そこへ至る面がキレイな曲面を描いていく。 その後は来場者を対象とするクレイの体験会に。自分の手で削るという行為を通じて、来場者はマツダデザインの精神を感じたかもしれない。

クレイモデリングを体験する来場者

カンファレンスの後、ソン氏にSXSW参加の背景を聞いた。同氏の話によると、マツダのデザインは人間が作り出した、情熱を感じさせるものであり、他の多くの量産車との違いをアピールすべく、3年前からSXSWに参加しているという。自動車というとテクノロジーの結晶と思われがちだが、マツダのデザインは音楽や映画と同じように、人の手で作り出されているというわけだ。

現在は3Dプリンターで形を作っていくことも可能だ。しかし、マツダでは人の手から生まれるクレイを大事にしており、じっくりスタイリングを決めていく。2Dのスケッチから3Dのクレイに移行させていくプロセスが、パッション(情熱)を生み出す原動力だとソン氏は語った。

あえてデザインに焦点を当てたマツダ

マツダ以外の自動車ブランドでは独スマートが出展していた。小さなイベントスペースをブースとし、新型「フォーツー」の電気自動車を展示するとともに 、スマートが世界で展開しているカーシェアリングサービス「CAR2GO(カーツーゴー)」などについてカンファレンスが行われていた。

スマートの展示

つまりスマートは、環境対応型テクノロジーやインフラに焦点を当てた参加だった。現在の自動車会社としては王道と言える。しかしマツダは、デザインにスポットを当て、クリエイティブな部分をアピールすべく、クレイモデルまで持ち込んだ。SXSWはさまざまなクリエイターがインタラクティブに交流する場。マツダのスタンスは、その空気感に合っていた。