毎年3月、米国のテキサス州オースティンで開催されるSXSW。このイベントのスーパースポンサーを務める唯一の日本ブランドがマツダだ。音楽祭や映画祭をルーツとするSXSWに、なぜ自動車メーカーが参加しているのか。現地に足を運ぶことで、音楽や映画との共通点が浮かび上がってきた。

なぜマツダがSXSWに?

さまざまなテーマを包含する祭典、共通項はクリエイティブ

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)というイベントは毎年3月、テキサス州の州都オースティンで開催されるイベント。名前はアルフレッド・ヒッチコック監督の名画の1つ「北北西に進路を取れ(原題:ノース・バイ・ノースウエスト)」から取っているという。

SXSWは1987年に音楽祭として始まった。1994年からは映画祭を同時開催しているが、転機となったのは4年後、インタラクティブフェスティバルという名称でIT関連の展示会や講演会が加わったことだ。

今年からはコメディも加わり、SXSWミュージック、SXSWフィルム、SXSWインタラクティブ、SXSWコメディの4ジャンルからなる、世界的に見ても珍しいクロスオーバーなイベントになっている。音楽や映画とIT。対照的に思えるテーマだが、クリエイティブという方向性は共通している。よって、同じイベントとして開催しているようだ。

SXSWは会場設定も独創的だ。オースティンのダウンタウン(中心部)にあるコンベンションセンターのほか、周辺のライブハウスやイベントスペースでもライブやカンファレンスが行われるからである。おかげで、会期中のオースティンは朝から晩まで多くの人で賑わっている。

米国のダウンタウンと言うと、都市によっては昼間であっても外出を避けたくなるような危険な雰囲気を漂わせるところもある。しかし、オースティンは逆に、筆者の経験では米国の中でもっとも安心して過ごせる都市の1つである。SXSWがこの雰囲気に貢献していることは間違いない。