では具体的なシチュエーションを想定して、介護保険加入者の毎月の支払金額をシミュレートしてみよう。以下に2つのモデルケースを用意し、その症状に見合う毎月の負担金額を計算してみた。ただし、住んでいる地域によって1単位あたりの金額が異なるため、この2つのモデルケースにおける料金はあくまで一つの目安として考えてもらいたい(2例とも介護保険給付の1割負担の人を想定)。

モデルケース(1)


要介護度: 要支援2

■対象者: 神奈川県相模原市在住の72歳男性

■症状: 大腿骨頸部骨折にて手術後、立ち上がりなどの日常生活動作に支障が出るようになり支援が必要になった

要支援2の保険支給限度額は10万4,730円。この金額の1割にあたる1万473円を超える金額分の訪問看護サービスを利用すると、超過分はすべて自己負担となる。

このモデルケースで想定される月額は8,720円。ヘルパーが週3回、月間12回にわたり対象者の自宅を訪問して身の回りの世話を支援。週に1回の予防訪問看護で症状が悪化しないようにするほか、デイサービスを通じて身体機能の低下を予防するケアプランだ。

モデルケース(2)


要介護度: 要介護1

■対象者: 神奈川県相模原市在住の65歳男性

■症状: 脳梗塞後、軽度のマヒと認知機能障害が残り要介護状態になった

要介護1の保険支給限度額は16万6,920円。この金額の1割にあたる1万6,992円を超える金額分の訪問看護サービスを利用すると、超過分はすべて自己負担となる。

このモデルケースで想定される月額は1万804円。ヘルパーが月間4回にわたり対象者の自宅を訪問して身の回りの世話を支援。軽度のマヒでは日常生活に極端な不便さを感じることが少ない分、ヘルパーの訪問を減らす一方で、専門知識を有した看護師による訪問看護の数を増やすプランを組んだ。