Qualcommは、1月に発表した新しいハイエンドSoCである「Snapdragon 835」を解説し、その性能をアピールするイベント「Snapdragon 835 Benchmarking Workshop Beijing」を、中国・北京で開催した。
Snapdragon 835は、ギガビットクラスのLTE通信に対応するほか、各種パフォーマンスの向上が図られている。ソニーモバイルコミニュケーションズが2017年2月に海外で発表した「Xperia XZ Premium」などに搭載され、順次搭載製品が登場する見込みだ。
Snapdragon 835は、モバイル向けでは初めて10nmのプロセスルールで開発されるSoC。トランジスタ数は実に30億に達し、製造はサムスンが担当する。前モデルはSnapdragon 820/821で、こちらは200機種以上の製品に搭載されており、Snapdragon 835も同様に多くの製品が登場することが期待されている。
スマホだけでなく、VRデバイスにも搭載
現時点ではソニーモバイルのXperia XZ Premiumに加え、2つのVR/ARゴーグルが発表されており、スマートフォンだけでなく、VRなどにも適したソリューションとして採用拡大を目指していく。10nmの第2世代FinFETプロセスにより、パッケージサイズがさらに小型化したことで、より薄いスマートフォンの製造、大容量バッテリの搭載、低消費電力化などが可能になる、と同社は言う。
下り約979Mbps、ギガビットクラスのLTEをサポート
パッケージにはSnapdragon X16モデム、Hexagon 682 DSP、Kryo 280 CPU、Adreno 540 Visual Processing、Spectra 180 Camera ISP、Haven Securityといった機能が統合されている。
X16モデムでは初めてギガビットクラスのLTEをサポート。統合GPUのAdrenoは、レンダリング速度が25%向上、ISP(イメージシグナルプロセッサ)のSpectraでは、スムーズなズームやより高速なオートフォーカスなど、さまざまな性能が向上しているという。
新たにUSB-PDと互換性のあるQuick Charge 4も搭載。2,750mAhのバッテリを搭載した端末で、15分で50%まで充電が可能だとしている。
ソニーモバイル、ZTE、モトローラが搭載宣言
同社のMarketing部門Senior DirectorのMike Roberts氏は、Snapdragon 835の機能の中で、まずギガビットLTEについて説明した。スマートフォンではソニーモバイル(Xperia XZ Premium)に加えて、ZTEとモトローラがギガビットLTE対応端末をアナウンスしており、すでに11カ国15事業者がギガビットクラスのLTEサービスの提供を計画。183カ国でLTE-Aが提供されており、86%がCAT6かそれ以上のサービスになっているという。
すでにオーストラリアのTelstraと米SprintがX16モデムを使ったギガビットLTEのデモを実施。ギガビットLTEは、1波150Mbpsの通信を、20MHz幅×3波のキャリアアグリゲーション(CA)で450Mbpsとし、変調方式256QAMの採用によって600Mbpsとしたあと、4×4 MIMOの利用で979Mbpsまで高速化されることで実現する。こうした技術をすべてサポートするのがSnapdragon 835だ。
無線LANも802.11adをサポートすることで、ギガビットクラスの通信が可能。11adは近距離の通信だが、802.11acで2×2 MIMOをサポートして600Mbpsオーバーにも対応させられる。こうしてギガビットクラスのLTE通信が汎用化したのち、無線LANがボトルネックにならないよう性能を向上させている。