パナソニックは、日本では、ショーケース市場においてトップシェアを持つほか、中国、アジアでもトップシェアを獲得。「日中の事業基盤、幅広い商品群、多様な技術資産によって、市場をリードしている」(パナソニック)とする。

こうした日本、中国、アジアでの実績に加えて、米ハスマンの買収により、パナソニックが手つかずであった北米、中南米市場にも足がかりができ、世界トップのショーケースメーカーを目指す地盤が整ったともいえる。

ハスマンの強みとは

ハスマンは、1906年の創業以来、111年の歴史を持つ。パナソニックは、2016年4月に、100%子会社として買収。だが、法人格を維持し、経営陣もそのまま登用。約6000人の従業員も維持している。

2015年度実績で、ハスマンの売上高は約11億ドル。ここ5年で16%の成長を遂げている。売上げ構成比はショーケース事業が39%、施工およびサービスが30%、食品流通業界向けその他商材が18%、冷凍機が10%、後付部品が3%となる。

「創業以来、常に冷凍、冷蔵機器の市場をリードしてきた。我々のミッションは、市場にポジティブなインパクトを与え、食品小売業の未来を変えることにある」と語るのは、ハスマンのティム・フィギィCEO。「顧客を第一に考えること、常に挑戦し、顧客に正直であること、顧客ニーズに応えるために企業全体で取り組むこと、一人一人が経営者としての姿勢を持つことなど、パナソニックの経営理念に通じる方針を持っている」と続ける。

ハスマンのティム・フィギィCEO

ハスマンは、1917年に、氷と塩で冷やすことができる最初の肉用ショーケースを発売。1935年には、初のセルフサービス型冷凍食品用ショーケースを発売した。その後も、1947年の日配品向け多段ショーケース、1960年の冷凍食品用多段ショーケース、1973年の発泡材利用ハイバックの食肉用多段ショーケースの発売など、新たな製品を投入しつづけてきた。2000年にはインガーソールランドの傘下に入り、2011年にはクレイトンデュプリエ&ライスが資本参加。2016年にパナソニックの傘下に入った。

現在、米国に21拠点、カナダに2拠点、中南米が4拠点、アジアパシフィックなどに10拠点を持つ。さらに、R&D拠点として8拠点を有しているという。

ハスマンのフィギィCEOは、「ハスマンの強みは、冷蔵ショーケースを中心とした機器の提供だけでなく、店舗デザイン、施工、保守までをトータルに提供できる点にある。北米および中南米市場を中心に、顧客との緊密な関係を持っているのも強みであり、社員のなかには、小売店舗での勤務経験者も多く、現場の悩みや課題を理解している」と説明。

さらに、「我々は、ハスマンというブランドに誇りを持っている。そして、パナソニックグループとなったことで、シナジー効果が大きいと期待している。お互いの冷蔵・冷凍装置の技術を組み合わせることで、さらに優れた製品を開発できるだけでなく、太陽光発電やIoT技術など、ハスマンが持っていなかった商材を活用した提案ができるようになる。これにより、ハスマンは持続的な成長を遂げることができると確信している」と語った。