パナソニックが、2016年4月に、米ハスマンを買収してから、まもなく1年を経過しようとしている。ハスマンは、スーパーやコンビニエンスストアなどに導入されている業務用ショーケースメーカーとしては、世界最大市場となる米国で、1、2位を争う企業だ。
パナソニックが高成長事業に位置づける「食品流通」の中核企業の1社であるとともに、2018年度までの戦略投資として計上している1兆円の2割弱となる1854億円を投資して買収。同社が成長戦略のひとつに掲げる「非連続投資による成長」の象徴的存在ともいえ、同時に、「グローバル経営を加速させるトリガー」とも位置づける。
日本における食品流通での実績に加えて、ハスマンの北米、中南米での取り組みによって、世界ナンバーワンのショーケースメーカーを目指す姿勢を示すパナソニック。ハスマンの買収はまさに戦略的買収であったといえるのだ。この米ハスマンとはどのような企業なのだろうか。
パナソニックの食品流通事業とは
パナソニックは、創業100周年を迎える2018年度に向けた中期経営計画のなかで、すべての事業を、「高成長事業」、「安定成長事業」、「収益改善事業」の3つに分類している。そのなかで高成長事業は、「積極的な非連続投資を行い、グローバルでの成長を目指す」事業と位置づけ、「リソースを大胆に拡充し、商品・営業力を強化する」方針を打ち出している。
そこに含まれる事業のひとつに「食品流通」がある。2016年度の事業規模は約3000億円。ショーケース、厨房機器、自動販売機、ディスペンサーなどを取り扱い、食品を産地から食卓まで、安定した温度管理のもとで安全に届けることを目指すコールドチェーン全体を網羅する事業体となっている。
パナソニック アプライアンス社の本間哲朗社長は、「食品流通は市場成長率が高く、業界平均利益率が高い、好立地にあるビジネス」と位置づける。